敷金の相殺・催告と「相当な期間」

宮本裕文

宮本裕文

テーマ:賃貸借契約

敷金の相殺と催告


●敷金の相殺

敷金は、賃貸借契約終了の際、借主に債務の不履行があるときに、その弁済に充当されます。そして残額を(債務の不履行がなければ全額)返還するものであると考えられています。

従って、契約期間中の敷金の所有権は貸主にあるとされ、また債務の不履行分の充当および残額等の返還は、賃貸借契約が終了する際に行なわれます。

そのため、物件を完全に明け渡すまでの間は、借主は敷金を預入れていることを理由に、債務の履行を拒否することはできません。
また、相殺ができる要件が備わっている状態にもありません。

例えば、
「今月は経済的に苦しいので、支払賃料10万円を敷金から差引いてください。」
「タバコで畳を焦がした。請求された畳表替え費用の5千円を敷金から差引いてください。」
などです。

敷金は、賃貸借契約が終了して、はじめて精算が可能となります。


●催告

催告は、「相当な期間」を定めてその期間内に義務の履行を促すものとされています。

この「相当な期間」がどのくらいなのかについては、基本的に「当該期間内に貸主が待っていても、借主の履行がなく、それが信頼関係の破壊と認められる程度の期間」といえそうです。

したがって、賃料等の滞納期間が長ければ、催告期間は短くてもよいとされ、逆に滞納期間が短ければ、催告期間はある程度長めに設定することが望ましいと考えられます。

ただし、実際の解除にあたっては従前の賃貸借に係る経過などの他の要素も考慮する必要がありそうです。

「相当な期間」は曖昧な期間といえそうなので、個々の契約関係において、個別に具体的に「相当な期間」を定め判断することが必要だと思います。



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有限会社富商不動産販売

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