賃貸借契約 「失火による損害賠償の責任は一切ない」?

宮本裕文

宮本裕文

テーマ:ちょっと一息

一切ないことはない。


ちょっと一息しませんか。

●先日、テナント賃貸借契約の法人借主の担当者から、「失火による損害賠償の
責任は一切ない、との特約条項を追加して下さい。」と連絡がありました。
*責任は一切ない、とはいえません。

(失火法、明治32年に制定された古い古い法律です。)

①「持家の場合の火災」・・・失火者に重大なる、故意・過失が無い場合、他人に
対する賠償責任はない。

②「賃借の場合の火災」・・・失火者に重大なる、故意・過失が無い場合、他人に
対する賠償責任はない。 同じです。

●しかし、①(所有)と②(賃借)では、決定的な違いがあります。


(賃借の場合、隣室・隣家の人に対して)

失火責任法が適用されます。類焼した相手に対して損害賠償責任は発生しません。
*重過失の場合は除く

(賃借の場合、家主に対して)

借主は家主と賃貸借という契約関係にあります。そのため、借りた範囲を契約終了時
に元の状態にして返さなければいけません。これがなされない場合、債務不履行によ
る責任が家主に対して発生します。

火災保険等、現在は数多くの商品があります。やはり保身の為、保険契約は必須です。

ちょっと一息でした。


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宮本裕文(宅地建物取引業者)

有限会社富商不動産販売

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