賃貸借契約 申込証拠金と37条書面の作成、契約成立とは?

宮本裕文

宮本裕文

テーマ:不動産トラブル

契約はどういう場合に成立するか。


●Aさんは、賃貸専門の宅建業者と賃貸マンションを内覧しました。そして物件を気に入り
「申込証拠金」として、賃料の1ヶ月分を支払いました。翌日、もう少し考えてから決めよう
と思いキャンセルの連絡をしたところ・・・。

業者の言い分は、「申込証拠金は、既に家主に送金し、入居の承諾も得たので、契約が
成立したと見なされます。従って申込証拠金は、手付扱いとなり返還はされません。」
とのこと。

●民法では、当事者の口頭での合意で契約が成立し、必ずしも書面の作成は必要とはし
ていません。(不動産に限らず、物品の売買などでも上記の主張をする人がいます。)

ただし、不動産賃貸借契約の場合においては、契約書の作成が予定されているのが通常
であり一般的です。

大枠で合意したとしても、具体的な賃料・敷金・礼金等や賃料の支払方法及び解除時の
手続き方法等の確認ができなければ、契約が成立したと考えるには無理がありそうです。

また、宅地建物取引業法37条書面の交付義務により、通常契約書は作成されますので、
その署名捺印をもって契約が成立したと考えるのが妥当かと思います。

但し、都道府県により契約の成立時期と、預り金の解釈が異なるケースもあります。
*事実、某府のHPでは「申込証拠金は場合によれば、手付扱いされることがあります。」
と記載されています。

「申込証拠金」や「手付金」の解釈や考え方は様々ですが、宅建業法では「預り金」は
一旦は、返還されるものと考えられています。

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●37条書面と契約書は異なるものですが、契約書を37条書面と兼ねることはOKです。●
*一般的には契約書をもって、37条書面としています。
*ただし、宅建業法では、37条書面=契約書とはしていません.。
*37条書面の交付は業者の義務とされています。
*意外ですが契約書の交付は業者の義務とはされていません。
*標準契約書では、「この契約書は、宅地建物取引業法第37条に定められている書面
  を兼ねています。」と明記されています。
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家主の承諾がなければ、一部の転貸も禁止されます。

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宮本裕文
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宮本裕文(宅地建物取引業者)

有限会社富商不動産販売

住宅確保要配慮者のための賃貸住宅専門店です。障がいのある方、高齢者の方へ積極的に賃貸住宅の仲介をしています。

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