大人ピアノ指導法:中高年ソルフェージュ「まねっこリズム」

光畑浩美

光畑浩美

テーマ:講師の養成/大人ピアノ指導法

いよいよ、中高年ソルフェージュの分野についてお話しいたします。

この中高年ソルフェージュは、脳の活性化に非常に有効なプログラムです。
特に中高年の皆さまにとっては、なくてはならない大切な内容であり、継続して教室に通う理由の一つにもなっています。

らくらくピアノには、中高年ソルフェージュに関する多くのプログラムがありますが、その中でも代表的なものとして、次の三つが挙げられます。

① まねっこリズム
② 高い・低い聴音
③ リズム聴音

今回は、その中でも特に取り入れやすく、
効果の高い**「まねっこリズム」**についてご紹介したいと思います。

まねっこリズムは、ピアノがなくてもすぐにできる


まねっこリズムの大きな特長は、
ピアノがなくても、その場ですぐにできることです。

通常のレッスン講座の中で行うのはもちろん、
体験講座やイベント、
あるいは訪問先で急に実施することになった場面でも、
すぐに取り入れることができます。

準備に時間がかからず、
その場の空気をぱっと動かせる、
とても便利なプログラムです。

表の目的は「脳の活性化」、もう一つの目的は「自発性を高めること」


まねっこリズムの主な目的は、
もちろん脳の活性化です。

これは皆さまにも分かりやすい、表向きの大きな目標と言えるでしょう。

けれども、実はもう一つ、大切な目的があります。
それは、自発性を高めることです。

体験会などでは、皆さま緊張しながら来られます。
「どんなことをするのだろう」
「私にもできるのだろうか」
そんな思いを抱えながら、期待と不安の中で参加されるのです。

自己紹介が終わると、椅子に座り、
「さあ先生、何を教えてくださるのですか」
というように、どうしても受け身になりやすい空気が生まれます。

そのまま進めてしまうと、
講座全体がどこか重たく、
エネルギーの低い印象になってしまうことがあります。

そこで力を発揮するのが、まねっこリズムなのです。

まねっこリズムは3段階で進める


まねっこリズムは、
レベル1・レベル2・レベル3の三つに分けて進めます。

レベル1

1小節のリズムを3問

レベル2

2小節のリズムを3問
ただし、ゆっくりバージョン

レベル3

2小節のリズムを3問
こちらは速いバージョン

このように、段階的に進めることで、
参加者の皆さまが無理なく入り込めるようになります。

講座での導入は、落ち着いた語り口で


実際の講座では、たとえばこのように導入します。

「皆さま、こんにちは。
らくらくピアノの内容をご説明する前に、
ぜひ皆さまに体験していただきたいことがあります。

らくらくピアノは
、ピアノを簡単に弾けるメソッドであると同時に、
脳の活性化につながるプログラムも行っています。

今日はその代表的な一つとして
、“まねっこリズム”を体験してみたいと思います。」


この時に大切なのは、話し方のトーンです。

慣れていないうちは、
つい張り切って、明るく高いテンションで話したくなるかもしれません。

けれども、
中高年の皆さまを前にした時には、
あまり高揚感の強い話し方だと、かえって浮いてしまうことがあります。

ですから、どちらかというと

NHKのアナウンサーのような、
落ち着きがあって分かりやすい話し方
が向いています。

穏やかで、聞き取りやすく、安心感のある進行が大切です。

見せ方の工夫で、参加しやすさが変わる


実際にリズムを示す時にも、ひと工夫が必要です。

普通に左右に手を動かして示すと、
前から見ている皆さまには意外と分かりづらいのです。

ですから、講師は上下の動きで、淡々とリズムを示すのが効果的です。

たとえば、
「タン タン タン はい」
というように示すと、

皆さまも
「タン タン タン はい」
と、まねしやすくなります。

終わった後には、必ず
「ありがとうございます」
とお伝えすること。これも大切な基本です。

また、グーとパーの動きを取り入れることで血流量が高まり、
脳への刺激にもつながることを添えてお伝えすると、
皆さまの納得感も高まります。

レベル3は
「できるかどうか」よりも「盛り上がること」が大切


レベルが上がってくると、だんだん難しくなります。
特にレベル3になると、かなり速くなりますので、
すべての方が完璧にできるとは限りません。

けれども、それでよいのです。

ここで大切なのは、
できる・できないではなく、その場が盛り上がることです。
一生懸命に取り組む、そのこと自体に意味があります。

私はこれを、ある意味
エンターテインメントだと思っています。

皆さまが笑顔になり、場が温まり、
「なんだか楽しい」と感じてくだされば、
それで大成功なのです。

難易度調整ができることも、まねっこリズムの強み


まねっこリズムは、
場に応じて難易度を調整できることも大きな特長です。

たとえば、
比較的お若くて活発な方が多い場面では、
少し難しめの出題にしてもよいでしょう。

一方で、デイケアや、ゆるやかな学びが求められる場では、
難易度を下げる必要があります。

難易度の見極めとしては、
一拍目や三拍目に「タン」が入る形は、比較的やさしいといえます。
逆に、一拍目や三拍目に「ウン」が入る形は、中高年の皆さまには難しく感じやすい
傾向があります。

こうした特徴を理解しておくと、その場に合った出題がしやすくなります。

応用編:キーボードの自動伴奏機能を使って、さらに楽しく


まねっこリズムには、さらに楽しい応用の方法があります。

通常の講座では、皆さまキーボードをお持ちになりますが、そのキーボードには
自動伴奏機能があります。
これを活用するのです。

たとえば、先生のキーボードで「
となりのトトロ」のような明るい曲を流します。
そして、他の皆さまのキーボードは、ピアノ音ではなく
パーカッション音に設定します。

すると、鍵盤を押した時に、シンバルやドラムのような音が出るようになります。
その状態で、全員でリズムを合わせて

「ジャン、ウン、ジャン、ウン」

と入っていくのです。

これは本当に盛り上がります。

一台が伴奏を流し、ほかの皆さまがリズム隊になる。
そうすると、教室全体が一つになって、とても楽しい空気が生まれます。

ホワイトボードを使うと、教室の空気が明るくなる

こうしたリズムを合わせる際に、ぜひおすすめしたいのが
ホワイトボードの活用です。

たとえば、ト音記号だけを書き、五線譜までは使わずに、

・タン タン タン ウン
・ウン タタ タン ウン
・タタンタ タン ウン

というように、簡潔に記しておくのです。

先生はその番号やリズムを示しながら進めていきます。
すると、皆さまは下を向いて資料を見るのではなく、自然と前を向き、顔が上がります。

これはとても大切なことです。
下を向いて紙ばかり見ていると、どうしても教室全体が暗い印象になります。
それをご覧になる見学者の方にも、「なんとなく暗い教室だな」「入りにくいな」という印象を与えてしまうかもしれません。

ですから、できるだけ紙だけに頼らず、見える形で前に提示すること。
それが、教室の空気を明るく保つためにも有効です。

おわりに

まねっこリズムは、単なるリズム練習ではありません。

脳を活性化させ、
自発性を引き出し、
場の空気を明るくし、
皆さまの心を自然にほぐしていく――

そんな力を持った、大変すぐれたプログラムです。

しかも、ピアノがなくても実施でき、体験会やイベントにもすぐ取り入れられる。
そして、工夫次第で、講座全体の一体感を高めることもできます。

ぜひ、それぞれの現場に合わせて取り入れてみてください。
中高年ソルフェージュの魅力を、より多くの皆さまに届けていただければと思います。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

光畑浩美
専門家

光畑浩美(大人ピアノ指導の専門家)

一般社団法人全日本らくらくピアノ®協会  株式会社PREMUSE

大人のピアノ初心者向け。特許庁登録「らくらくピアノ®︎」で憧れの曲を楽しく実現。オンライン講座や認定講師養成講座を展開。著書累計17万部超、Amazonや全国書店で販売中。

光畑浩美プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

 「何歳からでもピアノは楽しめる」を実現する大人ピアノ指導のプロ

光畑浩美プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼