大人ピアノ指導法:初心者の強い味方「鍵盤シール」

光畑浩美

光畑浩美

テーマ:講師の養成/大人ピアノ指導法

鍵盤シールは、必要な方にとって大切な“最初の味方”

今回は、鍵盤シールをどのような方におすすめすると喜ばれるのか、ということについてお話しします。

結論から申し上げると、鍵盤シールは必要な方にこそ、ぜひおすすめしたいものです。
ただし実際には、「見た目が気になるから」「シールに頼らず覚えたいから」と、最初は遠慮される方も少なくありません。

けれども私は、できれば始めのうちは、パッと見て鍵盤の位置がすぐに分かる方以外には、シールを貼ることをおすすめしたいと思っています。

特に、左手のC・D・Eあたりはとても重要です。
このあたりをしっかり見えるようにしておくことで、安心して鍵盤に向かえるようになります。

実際、体験会などでもこんな場面があります。
新しくキーボードを購入された方が、「自分は大丈夫」「そんなものはいらないよ」とおっしゃることがあります。

もちろん、そのお気持ちもよく分かります。
ですが、周りの皆さんがシールを貼って学ばれている中で、シールを使わないまま進めると、どうしても習得のスピードに差が出やすくなります。

そして、その差が少しずつ積み重なると、ご本人が居心地の悪さを感じてしまい、結果としてレッスンから遠のいてしまうこともあるのです。
そうしたケースを、これまで私は何度も見てきました。

だからこそ、指導の場では、「必要かどうか」を見極めながら、できるだけ自然にシールをご案内することが大切です。

「取り外しもできますから、まずは試してみませんか」と、やさしくお伝えするだけでも、受け入れていただけることがあります。

ときには、全部ではなく、まずは必要な場所だけ少し貼ってみる。
そんなふうに、相手の気持ちに配慮しながら進めると、思った以上にスムーズに受け入れていただけることもあります。

この鍵盤シールは特殊な素材でできており、時間が経ってから剥がしても、きれいに取れるようになっています。

ですから、「ずっと貼ったままでなくても大丈夫ですよ」とお伝えできるのも、大きな安心材料です。

実際に貼ってみると、「あ、弾きやすい」「分かりやすい」と感じられる方はとても多いものです。
そしてレッスンの終わりに「剥がしましょうか」とお声がけすると、「せっかくだから、もう少しこのままにしておこうかな」とおっしゃることもよくあります。

特に初期の段階では、鍵盤シールは本当に心強い存在です。
中高年の生徒さんの中には、**「これは命です」**とおっしゃるほど、大切に感じてくださる方もいらっしゃいます。

ただ、もう一つ覚えておきたいことがあります。
それは、いつか“外したくなる時期”が来るということです。

最初は「これがないと不安」と感じていた方が、上達されるにつれて、今度は「シールがあると目がチカチカする」「かえってごちゃごちゃして見える」と感じるようになることがあります。
つまり、

**“シールがあるから安心できる時期”**と、
**“もうシールがなくても大丈夫な時期”**が、はっきり分かれてくるのです。

この流れを理解しておくことは、指導する上でもとても大切です。
鍵盤シールは、ずっと頼り続けるためのものではなく、必要な時期に、その方の背中をそっと支えるための道具なのだと思います。

必要な方には、遠慮なく使っていただく。
そして、必要がなくなったら、気持ちよく手放していただく。
その自然な流れを支えていくことが、安心して長くピアノを楽しんでいただくことにつながるのではないでしょうか。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

光畑浩美
専門家

光畑浩美(大人ピアノ指導の専門家)

一般社団法人全日本らくらくピアノ®協会  株式会社PREMUSE

大人のピアノ初心者向け。特許庁登録「らくらくピアノ®︎」で憧れの曲を楽しく実現。オンライン講座や認定講師養成講座を展開。著書累計17万部超、Amazonや全国書店で販売中。

光畑浩美プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

 「何歳からでもピアノは楽しめる」を実現する大人ピアノ指導のプロ

光畑浩美プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼