大人ピアノ指導法:講座全体の「流れと時間配分」(個人レッスン)

光畑浩美

光畑浩美

テーマ:講師の養成/大人ピアノ指導法

中高年レッスンの全体的な流れと時間配分について

中高年レッスンの進め方には、大きく分けて個人レッスン講座形式の二つがあります。
今回は、その中でもまず個人レッスンの流れについてお伝えしたいと思います。

個人レッスンの基本的な流れは、次のようになります。

1.挨拶・本日のトピックス

2.指の練習(スケールやハノンなど)

3.本日の曲

4.次の曲・講師の演奏・一緒に歌う時間

5.ソルフェージュ

6.ご褒美シール貼り

今回は、この個人レッスンについて、もう少し詳しくご紹介します。

1.挨拶のあとの「本日のトピックス」

レッスンの最初に取り入れていただきたいのが、「本日のトピックス」です。

これは、生徒さんへのご案内や音楽的なお話だけを指すのではありません。
らくらくピアノの認定講師であるならば、各地の先生方や地域の活動情報をお伝えすることそのものが、大きな価値になります。

「この先生のところへ行くと、自分の教室のことだけではなく、全国の仲間の活動や広がりも知ることができる」
そう感じていただけることは、先生ご自身の器の大きさとしても伝わります。

らくらくピアノの認定講師は、日々多くの先生方がブログやFacebook、アメブロなどで活動を発信してくださっています。
ですから、そうした情報にぜひ目を通してみてください。

たとえば、
「○○県では、こんな素敵な活動があったんですよ」
「こういう方も頑張っておられるんですよ。励みになりますね」
といった形でお伝えするだけでも、生徒さんの視野は広がります。

ときにはプリントアウトしてファイルにまとめ、見せて差し上げるのもよいでしょう。
また、グレード開催やイベントについて、
「旅行がてらご一緒にいかがですか」
「私は同行できませんが、こういう機会もありますよ」
とお声がけするだけでも、生徒さんのモチベーションはぐっと高まります。

実際に、飛行機に乗って参加される方もいらっしゃいます。
「弾く」だけではなく、「世界が広がる」こともまた、らくらくピアノの大切な魅力なのです。

2.いきなり曲に入らないことの大切さ

以前、「どんぶりレッスン」と「小鉢料理レッスン」というお話をしました。
中高年レッスンでは、いきなり曲に入るのではなく、少しずつ心と体を整えながら進める小鉢料理レッスンの流れがとても効果的です。

特に女性の生徒さんが多い場合には、

トピックス

スケールやハノン

本日の曲

という順で進めることで、自然にレッスンに入っていくことができます。

スケールやハノンは、実はとても奥深いものです。
指を動かし、少し体をほぐしてから曲に入ることで、生徒さんも無理なく集中しやすくなります。

3.本日の曲は「腹八分」で止める

たとえば30分レッスンであれば、本日の曲までを25分程度で終えるのが理想です。
つまり、あえて“腹八分”で止めておくのです。

多くのレッスンでは、「本日の曲」で終わり、そこで「ありがとうございました」となりがちです。
けれども、それは例えるならデザートのないお食事のようなものです。

もちろん、メインのお料理がしっかりしていれば満足感はあります。
ですが、「また来たいな」と思っていただけるかどうかは、実はその最後の余韻にかかっています。

4.レッスンの“デザート”は、次の曲と講師の演奏

では、その“デザート”とは何でしょうか。
それが、四番目の「次の曲」「講師の演奏」「一緒に歌う時間」です。

次回の曲を講師が弾いてみせる。
生徒さんには空中で指を動かしていただくだけでもよい。
あるいは、一緒に口ずさんでいただく。

こうした“楽しめる時間”があることで、生徒さんは心地よい気持ちのままレッスンを終えることができます。

「今日はここまでできた」だけでなく、
「次はこんな曲が待っている」
「先生の演奏を聴いて楽しかった」
という期待感が生まれるのです。

5.ソルフェージュは、短くても効果的に

ソルフェージュも、長い時間を取る必要はありません。
短時間でも、十分に意味のある時間になります。

たとえば、

「ド・ミ・ソ」と弾いて、「ド・ミ・ソ」と歌っていただく。
「ド・ファ・ラ」も同じように行う。
あるいは、
「ドミソ、ミソド、ソドミ」
とこちらが言い、生徒さんに真似していただく。

そうして和音の展開形を“ことば”として覚えていただく方法もあります。
難しく構えず、テンポよく進めることが大切です。

6.中高年の生徒さんに特におすすめしたい「ご褒美シール貼り」

そして最後が、個人レッスンならではの工夫、ご褒美シール貼りです。
これは特に、中高年の生徒さんにとてもおすすめしたい方法です。

私は以前、縦5マス、横5マスのカードを作っていました。
いわば「レッスン頑張り表」のようなものです。
ただ、タイトルとして最も反応がよかったのは、「頑張り表」よりも**「ご褒美カード」**でした。

レッスンが終わるごとに、1枚シールを貼る。
すると、「今日も来られた」「これだけ続けてきた」ということが、目に見える形で残っていきます。

中高年の方は、スタンプカードやポイントカードを楽しみにされる方が多くいらっしゃいます。
貯まっていくこと自体が励みになり、「私はこれだけ続けてきたんだ」という実感につながるのです。

「まだまだです」
「全然弾けないんです」
とおっしゃる方でも、ご褒美カードが少しずつ埋まっていくことで、自分の積み重ねをしっかり感じることができます。

さらに、ルールを工夫すると、より楽しくなります。
たとえば、特に素晴らしかった日は、テキストの裏表紙の裏などに年月日と「1000点」と書いておく。
そして、その1000点が3つ集まったら、シールをもう1枚貼れるようにする。

そんな工夫も、生徒さんのやる気につながります。

そしてカードが全部埋まったら、ささやかなプレゼントを差し上げる。
さらに、ご褒美カードが5枚集まったら少し豪華に、10枚集まったらさらに豪華に——。
こうした仕組みは、子どもたちにも人気でしたが、中高年の生徒さんにも大変好評でした。

レッスンは教育であると同時に、継続して通っていただくための工夫も大切です。
だからこそ、こうした“還元”の仕組みは、生徒さんにとっても教室にとっても、とても良いものになります。

個人レッスンだからこそできること

ここまでお伝えした流れは、個人レッスンだからこそできる方法です。
講座形式の場合は、また別の流れや工夫が必要になります。

中高年レッスンでは、ただ曲を教えるのではなく、
「情報が広がること」
「心がほぐれること」
「次が楽しみになること」
「続けた自分を実感できること」
こうした要素がとても大切です。

ぜひ、日々のレッスンの中に取り入れてみてください。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

光畑浩美
専門家

光畑浩美(大人ピアノ指導の専門家)

一般社団法人全日本らくらくピアノ®協会  株式会社PREMUSE

大人のピアノ初心者向け。特許庁登録「らくらくピアノ®︎」で憧れの曲を楽しく実現。オンライン講座や認定講師養成講座を展開。著書累計17万部超、Amazonや全国書店で販売中。

光畑浩美プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

 「何歳からでもピアノは楽しめる」を実現する大人ピアノ指導のプロ

光畑浩美プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼