大人ピアノ指導法:最強となる女性の「口コミ効果」No.2
なぜ中高年女性の口コミ効果は強力なのでしょうか
中高年女性の口コミ効果が非常に強いことは、多くの方がすでに実感しておられるのではないでしょうか。
実際、若い世代のお母様方の影響力と、中高年、たとえば70歳前後の女性の影響力とを比べると、その差は非常に大きいものがあります。
その理由をひと言で表すなら、「中高年女性は縦のつながり」にも強く、「横のつながり」にも強いということです。
縦のつながりとは、年齢や立場を超えた人間関係です。年上の方とのお付き合いもあれば、年下の方のお世話をする関係もあります。地域の会、老人会、役割のある集まりなどの中で、「いつもお世話になっているから」「あの方とは長いご縁だから」といったつながりが生まれています。こうした縦の関係は、実はとても強い力を持っています。
一方で、横のつながりも非常に豊かです。ご近所づきあい、同窓会、趣味の仲間、地域の友人など、多くの方と日常的に密接につながっておられます。中には、一人で五人分ほどお話しされるような方も珍しくありません。そうした方の存在が、情報の広がりをさらに大きくしていくのです。
けれども、ここで大切なのは、ただ「中高年女性は口コミ力が強い」と知るだけでは十分ではないということです。
口コミが生まれやすい流れをつくることが必要なのです。
その流れとは何か。
それは、**「誘う・集う・喋る」**という三つのステップです。
この流れがなければ、口コミはなかなか広がりません。
たとえば、口コミになりにくい例を考えてみましょう。
皆様が、そろばん教室へ二時間通って、一生懸命学んで帰宅したとします。やっと家に着いて、「さあ、そのあと何をしますか」と考えたとき、多くの方は、そろばんのことをさらに考え続けるよりも、テレビをつけたり、一息ついたりして、少し休みたいと思われるのではないでしょうか。
つまり、そろばん教室での体験が、その場で誰かに話したくなる流れにはなっていないのです。もちろん後日、「どこかいい教室を知らない?」と聞かれたときには、「そういえば、あそこはよかったわよ」と紹介することはあるかもしれません。けれども、それは“きっかけ待ち”の状態です。
このような構造では、口コミは起こるとしても、どうしても遅くなります。
これが、口コミの広がりにくいモデルです。
では、口コミの影響力が強くなる流れとは、どのようなものでしょうか。
それが先ほどの、**「誘う・集う・喋る」**です。
たとえば、掲示板に「らくらくピアノ体験会を開催します。皆様どうぞ」と書かれていたとします。すると中高年の方は、「どうする?」「あなたが行くなら、私も行こうかしら」といったように、まず誘い合うことが起こります。
そして当日になると、一緒に参加し、一緒に体験し、会話を交わしながらその時間を過ごします。
「わあ、これ本当に弾けたわ」
「思っていたより楽しいわね」
そんなふうに感動を共有する。これが集うということです。
さらに、その場では自然に会話が生まれます。
「あれもよかったわね」
「こんなことができるなんて驚いたわ」
と、皆で喋ることが起こります。
すると、その体験は家に帰ってからも続きます。
ご家族に「今日こんなことがあったのよ」と話したくなりますし、お友達にも伝えたくなります。
つまり、
誘う → 集う → 喋る
という流れがあることで、体験そのものが話題となり、自然に口コミへとつながっていくのです。
中高年女性の口コミ効果が強力なのは、もともとの人間関係の広さだけが理由ではありません。
その特質に合った流れをつくることで、その力はさらに大きく発揮されるのです。
ですから、体験会や教室運営を考えるときには、ただ内容を伝えるだけではなく、
「誰かを誘いたくなる工夫があるか」
「一緒に集って楽しめる場になっているか」
「自然に会話が生まれる空気があるか」
という視点を持つことが大切です。
中高年女性の特質を理解し、それを活かした場づくりをすること。
それが、あたたかく、自然で、力強い口コミへとつながっていくのです。


