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ホスピタリティマネジメントとは? ―「よろこんでもらうよろこび」が人と組織を強くする―

テーマ:コミュニケーション・職場環境づくり

ホスピタリティマネジメントとは?

―「よろこんでもらうよろこび」が人と組織を強くする―

ホスピタリティ&マナー・ラボ 代表
ホスピタリティコンサルタントの長澤さおりでございます。

「ホスピタリティ」という言葉を聞くと、
皆さまはどのようなことを思い浮かべるでしょうか。
「お客様に親切にすること」
「質の高いサービスを提供すること」
「相手をおもてなしすること」
そのようなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

もちろん、それらもホスピタリティの表れの一つです。

これまでのコラムでは、「愛の反対は無関心」という視点や、
三配り「目配り・気配り・心配り」、
近江商人の「三方よし」、
茶道の「一期一会」などを通して、
人を大切にすることについて考えてきました。
その根底にあるのが、ホスピタリティです。

一方で私は、
ホスピタリティは、お客様と直接接する人だけに必要なものではないと考えています。
企業、医療機関、福祉施設、自治体、学校など、
どのような組織にも「人と人との関わり」があります。

お客様と社員。
患者様と医療従事者。
住民の方と自治体職員。
そして、上司と部下、先輩と後輩、同僚同士。

今回は、接客や接遇という枠をもう一歩広げ、
「人と組織を育てるホスピタリティマネジメント」について考えてみたいと思います。

ホスピタリティとは「相手の心をプラスにすること」

私は、ホスピタリティを、
「相手の心をプラスにするために、自ら考え、自発的に働きかける姿勢や行動」
とお伝えしています。

相手の様子を見る。
困っていることに気づく。
「何かできることはないだろうか」と考える。
そして、自分から行動する。

そこには、マニュアルや指示だけでは生まれない、「人が人を思う心」があります。

そして、「相手によろこんでもらうことが、自分自身のよろこびになる」という心を、
私はホスピタリティマインド「よろこんでもらうよろこび」とお伝えしています。

「ありがとう」とおっしゃってくださった。
相手の笑顔を見て、自分もうれしくなった。
「この仕事をしていて良かった」と感じた。
相手のよろこびが自分のよろこびとなり、そのよろこびがまた次の行動へつながっていく。

この心の循環に、ホスピタリティの大切な本質があると考えています。

ホスピタリティマネジメントとは?人と組織を育てる考え方


では、「ホスピタリティマネジメント」とは何でしょうか。

一人ひとりが持つホスピタリティマインドを、
個人の感性や資質だけに任せるのではなく、
組織全体で大切にし、育み、日々の仕事の中で実践していくこと。

私は、それがホスピタリティマネジメントだと考えています。

「感じのよい人が何人かいる」のではなく、
「この組織では、人を大切にすることを大切にしている」
という価値観が共有され、日々の行動に表れている状態です。

そして、その「人」とは、お客様や患者様、利用者様、住民の方だけではありません。
一緒に働く仲間も含まれます。

だからこそ、ホスピタリティマネジメントは、接遇力向上だけではなく、
人材育成や職場づくり、組織づくりにもつながります。

「外へのホスピタリティ」と「内へのホスピタリティ」

お客様には笑顔で挨拶をする。
患者様には優しく声をかける。
電話では丁寧な言葉を使う。

では、職場の中ではどうでしょうか。

同僚に挨拶をしているでしょうか。
「ありがとう」と伝えているでしょうか。
忙しそうな人に気づき、声をかけているでしょうか。
部下や後輩の話を、最後まで聴いているでしょうか。

私は、外に向けたホスピタリティと、内に向けたホスピタリティはつながっている
と考えています。

働く人同士が互いを尊重し、認め合い、助け合える職場には、心の余裕が生まれます。
その心の余裕は、お客様や患者様、関係先の方への表情、言葉遣い、行動にも表れていくのではないでしょうか。

外への接遇だけではなく、内側の人間関係や職場環境にも目を向ける。
そこに、組織としてホスピタリティを育てる大切な視点があります。

CSとESの両方を大切にする

企業ではCS(顧客満足)、自治体では住民満足、医療機関では患者満足など、
相手の満足を高めることが求められています。

その一方で、
「もっとお客様を大切にしてください」
「もっと患者様に寄り添ってください」
「笑顔で感じよく応対してください」
と、働く人に求め続けるだけで、本当のホスピタリティは生まれるでしょうか。

ここで大切なのは、働く人自身にも目を向けることです。

自分も大切にされている。
自分の存在を認めてもらえている。
困ったときには助けてもらえる。
自分の仕事には意味がある。
そのような実感が、安心感や働きがいにつながり、
周囲にも目を向ける心の余裕を生み出します。

CSを高めるためにも、その土台となるES(従業員満足)を大切にする。

お客様を大切にすることと、
働く人を大切にすることを両立させ、
その循環を組織の力にしていく。

この考え方は、
人材を組織の未来をつくる大切な存在として捉え、
その力を育み、生かしていく「人的資本経営」にもつながります。

「よろこんでもらうよろこび」が職場の中で循環する

例えば、忙しいときに同僚から、
「何か手伝いましょうか」
と声をかけてもらった。
仕事を終えたとき、上司から、
「ありがとう。助かりました」
と言ってもらった。

すると、
「また頑張ろう」
「今度は自分が誰かを助けよう」
という気持ちが生まれることがあります。
そして今度は、自分が別の誰かに声をかける。
一人のホスピタリティが、次のホスピタリティを生み出していく。

私は、これを「よろこびの循環」と捉えています。
信頼、感謝、思いやり、助け合いは目には見えにくいものですが、
その積み重ねは、チームワークや働きやすさ、サービス品質を支える組織の力になります。

AI時代だからこそ大切にしたい「人にしかできないこと」

AIをはじめとする技術の進歩により、
私たちの仕事のあり方も大きく変化しています。
情報を整理する。
文章を作る。
データを分析する。
さまざまな仕事をAIが支援する時代だからこそ、
大切にしたいのが、「人だからこそ生み出せる価値」です。

目の前の相手の表情を見る。
声の調子の変化に気づく。
相手の立場や心情をおもんぱかる。
そして、自分に何ができるのかを考え、行動する。
相手の存在に関心を寄せ、その人に合わせて心を働かせること。

技術が進歩する時代だからこそ、
このような人と人との関わりが、組織の大きな価値になっていくと考えています。

ホスピタリティを「個人の心」から「組織の文化」へ

ホスピタリティマネジメントで目指したいのは、
一部の人だけが頑張る組織ではありません。

「私たちは、どのような組織でありたいのか」
「お客様や患者様、関係先の方を、どのように大切にするのか」
「一緒に働く仲間を、どのように大切にするのか」

という価値観を組織全体で共有し、日々の行動に表していくことです。

自分から挨拶をする。
感謝を言葉にする。
相手の話を聴く。
困っている人に気づいたら声をかける。

小さな行動も、繰り返されれば習慣となり、
やがて人を思いやり、大切にする行動が自然に生まれる組織文化へとつながっていきます。

ホスピタリティを「個人の心」から「組織の文化」へ。
人を大切にする組織だからこそ、人が育ち、力を発揮し、その力が組織全体へ広がっていく。
それが、私が考えるホスピタリティマネジメントです。

人を大切にすることが、組織の力になる

では、働く人が、
「自分は大切にされている」
「ここなら安心して働ける」
と感じるためには、何が必要なのでしょうか。

人を大切にすることと、組織を強くすることは、別々のものではありません。

一人ひとりが安心して働き、自分の存在や仕事に意味を感じられること。
そして、人と人との間に信頼や協力が育っていくこと。
その積み重ねが、人を大切にする組織文化へとつながっていくのではないでしょうか。

次のホスピタリティマネジメントのコラムでは、
「認めること」「安心できること」に焦点を当て、
マズローの欲求階層説も一つの手がかりに考えていきます。

さらにその先では、
人と人との良い関係が、思考や行動、組織の成果へどのようにつながっていくのか、
「関係の質」という視点から考えていきます。

私はこれからも、「よろこんでもらうよろこび」を原点に、ホスピタリティを通して、働く人を輝かせ、人を幸せにし、組織を強くするという視点を大切にしてまいります。

研修内容や実績につきましては、
ホームページでもご紹介しております。よろしければぜひご覧ください。
http://www.hospitality-m-l.com/

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長澤さおり
専門家

長澤さおり(マナーコンサルティング)

ホスピタリティ&マナー・ラボ

元CA(キャビンアテンダント)の「おもてなし接客マナーを伝え、お客様、患者様満足度の向上を目指します。スタッフが働く喜びを感じられる「人財」となり、イキイキ元気に働ける「組織創り」へとつなげます。

長澤さおりプロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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