Mybestpro Members

長澤さおりプロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

接客と接遇の違いとは?ホスピタリティを高める接遇力

テーマ:ホスピタリティ 接遇力向上 接客に携わる

接客と接遇の違いとは?ホスピタリティを高める接遇力

接客はサービスを提供すること。接遇は、人を大切にすること。

ホスピタリティ&マナー・ラボ代表の長澤さおりでございます。
私は元客室乗務員という経歴を活かし、
エアライン専門学校で、ホスピタリティ講義(エアラインマインド)の非常勤講師を務めております。
以前、CA・グランドスタッフを目指す学生の皆さんへ、「接客と接遇の違い」をテーマに講義を行いました。

「接客」と「接遇」

似ている言葉ですが、この二つには大きな違いがあります。
接客とは、お客様へ商品やサービスを提供すること。
一方、接遇の「遇」という字には、「人をもてなす」「心を込めて接する」という意味があります。
つまり接遇とは、相手を一人の大切な人として尊重し、思いやりの心をもって応対すること。

航空業界では、お客様は飛行機に乗る移動だけを目的としているわけではありません。
「安心して旅をしたい。」
「快適に過ごしたい。」
「思い出を作りたい。」
そのような目には見えない願いを持っていらっしゃいます。
その願いに気づき、心地よい時間や空間を提供することこそが、接遇であり、ホスピタリティなのです。

接客と接遇の違いを「ウォンツ」と「ニーズ」で考える

私は、「接客」と「接遇」の違いは、お客様のウォンツとニーズにどう向き合うかにあると考えています。

接客とは「ウォンツ」に応えること

ウォンツとは、お客様が自覚し、言葉にできる具体的な要望です。
例えば航空業界では、
•飛行機に乗りたい
•荷物を預けたい
•飲み物がほしい
•窓側の席に座りたい
こうした要望に、安全・正確・迅速に応えることが接客です。
接客は、サービスを適切に提供するためのプロとしての基本であり、欠かすことのできない土台です。

接遇とは「ニーズ」に応えること

一方、ニーズとは、お客様自身も言葉にしていない本質的な願いや感情です。
例えば、
•安心したい
•大切に扱われたい
•不安を解消したい
•心地よく過ごしたい
•信頼できる人に任せたい
こうした思いは、ほとんどの場合、お客様の口から直接語られることはありません。
その気持ちに気づき、自ら考え、先回りして行動することが接遇です。

エアライン業界に見る接遇の本質

航空業界では、昨今、搭乗手続きや座席指定など、お客様の「ウォンツ」に応える多くのサービスがデジタル化されています。
しかし、お客様の「ニーズ」は、AIやシステムでは捉えきれない、人の心の中にある願いや感情です。
その思いに気づき、寄り添い、行動できることこそ、人にしかできない価値なのです。

例えば、
不安そうな表情のお子様に気づき、安心していただけるよう優しく親しみ感をもってお声掛けをすること。
足の不自由なお客様をお見かけし、お申し出を待つのではなく、自らサポートを申し出ること。
海外からのお客様が戸惑っているご様子に気づき、こちらから歩み寄ってお手伝いすること。

これらはマニュアルに書かれた業務ではなく、お客様の気持ちに寄り添う接遇です。
お客様が言葉にされない思いに気づき、一歩先の行動ができること。
それこそが、ホスピタリティの本質なのです。
スマートフォンや自動チェックイン機が普及した時代だからこそ、
人にしかできない価値が、接遇でありホスピタリティなのです。

接遇は航空業界だけのものではありません

この考え方は、医療・福祉・行政・運輸など、人と関わるあらゆる仕事に共通しています。
例えば医療機関では、患者様は来院された際、「初めてです。受付をお願いします」とおっしゃいます。
しかし本当に求めているのは、
「安心したい。」
「不安な気持ちを理解してほしい。」
「信頼できる病院であってほしい。」
という思いではないでしょうか。
受付業務という接客だけではなく、その方の気持ちに寄り添う接遇があることで、安心や信頼が生まれます。

また、接遇はお客様の前だけで行うものではありません。
館内を清潔に保つこと。
季節の花を飾ること。
身だしなみを整えること。
笑顔で挨拶をすること。
仲間同士が気持ちよく働ける職場をつくること。
こうした日々の行動も、お客様へのおもてなしにつながっていきます。

学生の皆さんへ伝えたかったこと

講義の最後に、学生の皆さんへこのようなお話をしました。
「皆さんが目指すCAやグランドスタッフは、お客様のウォンツに応えるプロであることはもちろんですが、
それだけでは『この人なら大丈夫』『また会いたい』と思っていただける存在にはなれません。
本当に選ばれる人は、お客様が口にした要望だけではなく、その奥にあるニーズに気づく努力をしています。
『安心したい』『大切にされたい』『気持ちよく旅をしたい』
そのような言葉にならない思いに寄り添い、自らお声かけ、行動ができる人です。」

接客は、お客様のウォンツに応えること。
接遇は、お客様のニーズに寄り添うこと。
そしてホスピタリティとは、相手に喜んでいただきたいという思いを、自らの行動で表現することです。

接遇とは、人間力そのもの

私は、接遇とは単なるマナーではなく、人を尊重し、信頼関係を築くための人間力だと考えています。
接遇は、接客業だけに必要なものではありません。
職場のコミュニケーションやチームワーク、人と関わるあらゆる場面で求められる力です。

時代がどれほど変わっても、人の心に寄り添う価値は変わりません。

私はこれからも、「よろこんでもらうよろこび」を原点に、ホスピタリティを通して、
人を輝かせ、人を幸せにし、組織の未来をより豊かなものにするお手伝いを続けてまいります。

ホスピタリティ&マナー・ラボでは、
企業・医療・福祉・行政・教育機関など、
それぞれの現場に合わせた実践的な接遇研修・ホスピタリティ研修を行っております。
研修内容や講演実績につきましては、ホームページでもご紹介しております。

よろしければぜひご覧ください。
http://www.hospitality-m-l.com/


岡山を拠点に、岡山県内をはじめ、東京・大阪・兵庫・広島・香川・高知など、
中国・四国・関西エリアにおいて、
接遇マナー・ビジネスマナー・コミュニケーション研修の講師を務めております。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

長澤さおり
専門家

長澤さおり(マナーコンサルティング)

ホスピタリティ&マナー・ラボ

元CA(キャビンアテンダント)の「おもてなし接客マナーを伝え、お客様、患者様満足度の向上を目指します。スタッフが働く喜びを感じられる「人財」となり、イキイキ元気に働ける「組織創り」へとつなげます。

長澤さおりプロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

「ホスピタリティ」を軸にした接遇マナーのプロ

長澤さおりプロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼