介護の仕事による腰痛の予防と改善に必要なお腹の筋肉の働き
姿勢を良くするには「背すじを伸ばす」ことが「いいこと」だと思っていませんか。
残念ながらそれは『間違い』です。
でも、親から「背中が丸くなってるよ!背すじを伸ばしなさい!」とか、
学校で先生から「背すじを伸ばして胸を張れ!」といわれてきましたね。
現在の学校では、礼をする前に「姿勢を正して!気をつけ!礼!」と
声をかけているところもあるようです。
間違った声かけの「背すじを伸ばす」ではないにしても、「姿勢を正す」といわれると
やはり私達には「真っすぐな背中」が頭に浮かぶのではないでしょうか。
私達の背骨にはいくつかの弯曲(カーブ)があります。
生理的弯曲といわれ、誰もがあるはずのカーブです。
背骨は首(頚椎)7個、胸(胸椎)12個、腰(腰椎)5個が
骨盤の上に積み上げられています。
骨盤のすぐ上、腰椎は前に弯曲、その上の胸椎は後ろに弯曲、
その上の頚椎は前に弯曲しています。
よくS字カーブといわれますが、このようにいくつかの弯曲によって、
バネのように衝撃を吸収・緩衝し、四肢へ力を伝えてくれています。
しかし、この弯曲が大きくなったり、平坦になると、動きにくさを感じたり、
疲れや痛みを起こすこともあります。
また、見た目も変化します。
いわゆる「猫背」というのは、胸(胸椎)の背骨の弯曲が大きくなった状態です。
そうなると、一番上に乗っかっている頭の位置も移動しますね。
きれいなS字カーブの時よりも頭は前方に位置します。
すると、その頭の位置を保つために、きれいなS字カーブの時には
さほど感じなかった筋肉が緊張を強いられるようになります。
胸(胸椎)の背骨の弯曲が戻らなければ、頭の位置も戻らず、その姿勢を保つための筋肉が
常に働きっぱなしになるのです。
頭が今以上に前に移動しないように、首の回りや後ろ、肩の筋肉がいつも緊張状態です。
この辺りが凝ったり、硬くなっている方は多いのではないでしょうか。
いわゆる「肩こり」ですね。
つまり、「肩こり」は姿勢の変化から起こっていることが多いのです。
背骨の並びがきれいなS字カーブを取り戻すだけで、緊張し続けた筋肉の疲労はかなり減ります。
では、きれいなS字カーブを取り戻すには、どうすればいいのでしょうか。
「背すじを伸ばす」ではありません。
『【体幹】を調える』ことです。
この【体幹】が上手く働いていないことが、姿勢の崩れのほとんどの原因なのです。