「時間」の概念は存在するのか?
知財を離れて一息つきたいと思います。
今は「時代の大転換期」にあると、以前のコラムでも度々書いてきました。
「時代の大転換期」では、ものごとのトレンドが大きく変化します。したがって、自分の目の前に見える変化、例えば、生成AIの登場等は、そのまま受け入れることができても、将来的な変化は、想像力(思考力)に左右され、個人々では、その見方が大きく異なります。つまり、自分に都合の良いように解釈するため、見方が大きく違ってきます。
特に、高度成長期(黄金期)を経験した日本の場合、マイナス要素を受け入れにくくなり、保守的傾向が強まっているように感じます。トレンドが変化しているときは、どうしても不利に作用してしまいます。
この結果、いわゆるガラパゴス化が進行し、古い状態の維持により、相対的に衰退するという状態に繋がりかねません。
日本は、家電,半導体,液晶,EV等のモノずくりに関しては、ある時期、それなりのシェアを占めていましたが、いつの間にか、中国や韓国等に移っています。
これは特別な現象ではなく、ある意味、自然の流れの現象です。それゆえに、全体を直視し、今後を的確に見通す必要があります。
特に、今は、インターネットやSNSが進んでいるため、世界の情報を速やかに入手できます。
トレンドが大きく変化するときは、過去の経験や知識は、一旦、リセットとし、将来的なことは、ゼロから再思考することが必要かつ重要になります。
しかし、ものごとが順調に進行し、規模が大きいほど、保守的となり、簡単には、リセットできないのが実情です。リセットできなければ、変化もできないことを意味します。
個人的に一番懸念しているのは、日本のEVシフトの課題です。自動車産業は、大手メーカを筆頭に、かなりの数の中小企業が携わっています。
一方、中国の場合、EVシフトの観点からは国家制度と人口比から日本の数倍のスピード感を持って成し遂げます。
この状況から、将来的な自動車産業のモノずくりは、大きく変化すると思っています。EVに関して、欧米のメーカ等は、計画の変更や見直しを迫られ、EV化が減速しているようなニュースもありますが、コストや機能等から見て中国メーカに太刀打ちできないとの判断がある可能性があります。
EVシフトは、気候変動に対応する脱炭素の理由付けがもちろん最も大事なことですが、トレンドの変化、つまり「蒸気機関車」から「電車」への変化が進行していると同じです。
正に、ダーウィンの言う「変化できるものだけが生き残る」という課題に直面しており、EVに関しては、中国やインド等は、圧倒的な人口比を持っており、今後は、世界の中の日本という観点からモノづくりを考えていくことが必要と思っています。
他方、先に書いた「リセット」思考の課題のように、「時代の大転換期」では、「大」ほど不利になり「中小」ほど有利になる現象が生じます。次回からは、「中小企業の特許・商標等の活用戦略」について書いてみたいと思います。