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スタートアップ企業と知的財産(3)

下田茂

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テーマ:知的財産

 我々は今、100年単位のサイクルにより変動する「時代の大転換期」に遭遇していると思っています。
 しかし、今の状況、特に、気候変動は指数関数的に変動しているように感じており、とてもサイクルと呼べる状況ではありません。
 ここ長野市でも、過去に経験したことのない、記録的な猛暑が連日続いています。また、ハワイやカナダなど、外国では深刻な火災が発生しています。
 国連事務総長は、この状況について、「地球温暖化」の時代が終わり「地球沸騰化」の時代が到来したと発言しています。
 このため、スタートアップビジネスにとっての重要なキーワードの一つは、地球温暖化(地球沸騰化)に対応するテクノロジーであり、例えば、「SDGs」(持続可能な開発目標)に関連する技術、或いは「クリーンテック」(再生不能資源を使用しない商品等)に関連する技術になると思います。
 しかも、このような地球環境を保全或いは再生するテクノロジーは、スタートアップ企業にとっての有望なビジネス分野にはなりますが、これらの課題は、人類全体にとっての緊急の問題であり、スタートアップレベルの問題ではありません。
 したがって、ビジネス面では、例えば、メジャーな分野の場合、脱炭素化を目指す自動車のBEV(バッテリ電気自動車)化があります。基本的には、既存の自動車産業がその方向性を示して取り組むとともに、それを支える企業群がスタートアップ事業に転換したり、新たなスタートアップ企業を立ち上げることが期待されます。
 一方、マイナーな分野の場合でも、「SDGs」に関連するスタートアップ事業として転換したり起業することができます。
 少し前のウェブニュースでは、エコパッケージを使用した花火セットの商品を考案し、実用新案権を取得した企業が記事として掲載されていました。
 花火セットの内容は、包装をシンプルにし、ゴミを大幅に削減できるいわゆるエコパッケージを採用した内容になっています。
 予想を上回る売れ行きがあり、「ECO」を前面に出したことに、一般の消費者が関心を持ち、売れ行きに繋がったことに驚いているということでした。
 その実用新案権も調べてみました。こちらは、エコパッケージにしたことにより包装デザインを含む包装構造がシンプルで小型となり、陳列する際に、コンビニで販売するような省スペース性のある陳列ボードを用いた考案になっていました。
 このように、身近な「商品」や「サービス」にも「SDGs」や「クリーンテック」に関する様々な改善の余地、言い換えれば、「知的財産」の種が存在しています。

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下田茂
専門家

下田茂(弁理士)

みらい国際特許事務所 長野オフィス

個人から企業及び大学発明まで幅広く対応し、高い特許登録率を維持しています。持前の知財センスに基づき、特許権や商標権の取得はもちろんのこと、依頼者に満足して頂けることを第一に、広く深くアドバイスします。

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