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下田茂

アイデア等を特許・商標等の権利にするプロ

下田茂(しもだしげる) / 弁理士

みらい国際特許事務所 長野オフィス

コラム

農業と知的財産(3)

2018年4月21日 公開 / 2021年1月22日更新

テーマ:知的財産

コラムカテゴリ:法律関連


 農業の知的財産として、農産物の品質を維持するブランド、更には農業における服装や農具等のオシャレ感やデザイン感について書いてきました。
 一方、農業では、栽培や農具等に関する「技術」も重要な知的財産となります。実際、それぞれの農家では、品質の高い野菜を得るために、様々な工夫をしていると思います。例えば、トマトを栽培する際の畝の盛り方や支柱の立て方一つとっても長年の経験から独自の工夫(ノウハウ)がなされ、そのノウハウの蓄積の上に良質な野菜が栽培されていると思います。
 このような「ノウハウ」も知的財産の重要な一つです。独自のノウハウを持っている人は、“自分だけのやり方として秘密にしておきたい”、或いは“タダでは教えたくない”などの気持ちがあるのではないでしょうか。
 したがって、このような価値のあるノウハウは、知的財産として十分に保護するに値し、また、ブランド力を維持する上でも密接に関係します。
 他方、今は、昔と異なり、農具や農機は、農業を行う上での必須のツールになっています。特に、農具や農機は、実際に使用してみて初めて、“ここをもう少しこう変えた方が便利なのに!”、或いは“ここに、このようなものが付いていれば、より使い勝手が良くなるのに!”などと思うことがあるでしょう。
 このような発想は、長年にわたり使用してきた使用者が最も気づきやすいと思います。このような「改善」や「ひらめき」によるアイデアも、大切な知的財産であり、「特許権」や「実用新案権」等により保護されます。弊所でも、このようなアイデアに関する出願もときどき持ち込まれます。機会があれば紹介したいと思っています。
 また、品種改良や独自の栽培方法、つまり、農産物に関係するアイデアも重要な知的財産に位置付けることができます。したがって、「トマトの栽培方法」等の独自の栽培方法に関するアイデアも特許出願することができます。
 なお、品種(新品種)に関しては、「種苗法」に基づく品種登録によっても保護されます。
 さらに、最近では、農家からインターネットを通して直接販売するケースも増えていると思います。この場合、個人レベルでも十分に農業ビジネスができます。そして、インターネットを利用した独自のアイデアに基づく販売方法、例えば、「新鮮野菜の販売方法」などは「ビジネスモデル特許」として保護さます。
 このように、特許等の知的財産は、決して、工業製品等の物づくりの分野に限った“専売特許”ではなく、農業シーンにおいても必須のアイテムとなり、上手に利用することにより、効果的かつ安心した農業ビジネスにつなげることができます。

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