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スタートアップ企業と知的財産(2)

下田茂

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テーマ:知的財産

 スタートアップ企業と知的財産をテーマにしたコラムを書いていますが、「スタートアップ企業」と一口に言っても、企業として立ち上げ、ビジネスとして軌道に載せるのは容易なことではありません。
 日本の場合、特に、若い人は“寄らば大樹の陰”の考えから、スタートアップ企業を立ち上げようとするハングリー精神に欠けているように感じています。
 事実、統計的にも現れています。下図は、Web上に掲載されていた各国のユニコーン企業のグラフですが、米国と中国は、200社を上回る数ですが、日本は7社になっています。
 なお、ユニコーン企業とは、スタートアップ企業の中でも、起業して10年以内,評価額10億ドル以上,非上場企業,を満たす企業を、ユニコーン企業と定義されています。
 現在は、インターネットが普及し、企業と消費者の距離がひじょうに短くなっており、情報を発信しやすい時代になっているとともに、ChatGPT等の生成AIで代表される支援系のシステムも急速に進歩しています。
 したがって、ハングリー精神(起業精神)さえあれば、一昔前に比べ、ビジネス展開も飛躍的にやりやすい時代に入っています。
 一方、スタートアップ企業の場合、ブランド力や信用力のある大企業などと比較した場合、どうしても総合的な力学関係で弱くなってしまいます。
 このため、以前のこのコラムでも、『「特許」等の知的財産を武器にし、ビジネス面でブランドや信用を補完、つまり、知財を積極的に活用することが重要になる』点を、機会がある度に書いてきました。
 しかし、「特許」と一口に言っても、それを戦略的に活用することは容易なことではありません。
 そこで、スタートアップ企業をはじめ、ビジネス全般に言えることですが、初期段階では、「特許」や「著作権」等の権利に関し、個別に考えたり判断するのではなく、自身のアイデアに対し、主観的で漠然とした、いわば「知的資産」の視点から捉えることが良いと思います。
 これにより、我々は、ヒアリングを通して全体の内容を把握し、「目利き」の観点から、スタートアップ企業にとって最も適切な保護形態は何かを捉えることができます。さらに、これに加え、例えば、商標と実用新案を組合わせた、いわゆる「知財ミックス戦略」、ノウハウと著作権を組合わせた「オープン/クローズ戦略」等、スタートアップ企業にとって有効となる様々な知財戦略を立てることができます。

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下田茂
専門家

下田茂(弁理士)

みらい国際特許事務所 長野オフィス

個人から企業及び大学発明まで幅広く対応し、高い特許登録率を維持しています。持前の知財センスに基づき、特許権や商標権の取得はもちろんのこと、依頼者に満足して頂けることを第一に、広く深くアドバイスします。

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