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下田茂

アイデア等を特許・商標等の権利にするプロ

下田茂(しもだしげる) / 弁理士

みらい国際特許事務所 長野オフィス

コラム

知的財産に関する最近の動き

2013年9月7日 公開 / 2021年1月22日更新

テーマ:知的財産

コラムカテゴリ:法律関連

 今回は知的財産の最近における二つのトピックスです。

◆TPP問題◆
 TPP問題は、農業や貿易だけでなく知的財産に関しても少なからず国民生活に影響があります。日本弁理士会の関係する実務系委員会も対応に追われています。
 何が問題になるか、一言でいえば、先進国のように知的財産に関して強い国は保護をより強化しようとし、新興国のように知的財産に関して弱い国はそれに反対します。
 具体的には権利期間の問題です。例えば、米国は、ハリウッドやディズニーの映画等を世界に配給しているため、著作権収入を確保するには著作権の権利期間を長くする方が有利になります。また、ジェネリック薬品の出現を抑えるために、特許権の延長を主張します。これに対して、著作権料を支払う側の国やジェネリック薬品を必要としている国は当然に反対します。
 結局、双方の妥協点でまとまるしかありませんが、我々一般人にとっては、成り行きにより安い映画ソフトやジェネリック薬品がなかなか出てこない等の影響を受けることもあり得ます。TPP問題については話し合いの行方を見守りたいと思います。

◆特許審査基準の変更◆
 いわゆる「シフト補正」に関する審査基準が変更になります。シフト補正といっても特許の業界にいる人はわかりますが、そうでない人はわからないと思いますのでスルーして下さい。
 シフト補正に関する変更前の審査基準は、その考え方が解りにくく、外国からの代理人(出願人)は、日本独自の審査基準にビックリしたのではないかと思います。つまり、発明の単一性を請求項単位で捉えていたため、極端な話、請求項が30項あっても、1項だけ審査され、残りの29項は審査されない可能性があります。しかも、それに対する補正等の対応も制限されていました。結局、発明が十分に保護されない事態も起き得る可能性があり、問題視されていましたが、今回、このような不具合は緩和される方向に変更されました。
 具体的な変更内容は省略しますが、今回の変更により、「特別な技術的特徴(STF)」の認定される対象が請求項単位から構成単位に変更されました。つまり、発明の単一性の捉え方がより広くなるとともに、補正できる範囲もより広くなるように変更されました。

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