知的財産に関する最近の動き
今年も始まったと思ったら、もう2月の後半です。前々回のコラムでは、今後の日本の衰退を心配し、その大きな要因としてバッテリ電気自動車(BEV:EVと略記)化の遅れを挙げました。
「時代の転換」は、“古い時代”から“新しい時代”への転換であり、その踊り場とも言える今は、古い価値観と新しい価値観のぶつかり合いです。そして、最終的に“新しい時代”に移ります。ある意味、分かりやすい話です。
この踊り場で“古い時代”にすがり保守化することは致命的であり、いち早く頭を切り換える必要があります。
「エンジン自動車」は、過去の自動車になりつつあり、EVの普及を加速させることは日本にとって最大のミッションと思っています。
トヨタ自動車の売上げは、3年連続して世界一というニュースがありましたが、この時期におけるこのニュースは、見方を変えれば、世界一高いリスクが、裏側で同時進行していることを意味します。
そして、「知的財産」の観点からも、EV化は、重要になると思っています。「エンジン自動車」が「電気自動車」に切替わる単純なハードウェア的な技術の話だけではありません。
EV化と並行し、「自動運転」技術や「AI」技術なども両輪として進歩します。さらに、自動運転やAIは、IOT技術やビッグデータとも密接に関係します。これらの技術は、システム構築やビジネスモデルなどのソフトウェア的な技術ともなり、未来に向けた必須の「知的財産」として位置づけられます。
このように、EVの普及は、ハードウェア上の技術のみならず大量のソフトウェア的な技術も生み出すため、「知的財産」として蓄積保護しなければ、結局、国力の衰退をもたらします。
また、「自動運転」,「AI」,「ビッグデータ」等は、“質”もさる事ながら“量”が重要であり、特に、ビッグデータは、データ量が価値を持つとともに、EVの普及に比例して学習し加速します。
EV化が先行する中国では、EVに関するビッグデータは、かなりのボリウムで蓄積されていると思われ、事実、ビッグデータを「知的財産」として国家重要秘密として保護しようとしています。
アメリカも補助金制度やバッテリに必要なリチウムの国産化を進めるなど、次々とEVに関する普及対策を打ち出しています。
日本では、トヨタ自動車社長が「私はもう古い人間だと思います」の言葉を残して交代するニュースがありました。現状を表しています。
日本は、国土面積の面でもEV化に適していると思っています。しかし、あのトヨタでさえも(大きくなり過ぎた故に)対応の動きは鈍く、どっぷりと現状に浸っている感じがします。
“EV化してもソーラパネルの製造等に伴う炭素排出量が多くて意味ない”,“PHEV,水素等の多様化した選択肢も必要”等の声も様々ありますが、“古い時代”の保守的感覚としか思えません。
電気変換効率の進歩など「伸び代」が断然大きい再生可能エネルギが今後の“新しい時代”のエネルギ源になることは誰でも分かっていることです。