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コロナ禍時代の知的財産 -5-

下田茂

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テーマ:知的財産

 前回、「ワクチン特許」のような発明の場合、製造上の品質を確保するためのノウハウも多く、だれでも直ぐに生産できるものではなく、いわばこの分野の専門家チームが長い年月と莫大なお金を費やして成立させる「発明」になる点を書きました。
 今回は、このような「ワクチン特許」に対して、対極の「発明」とも言える「ふるふる特許」について、両者を比べてみたいと思います。
 「ふるふる特許」に関する侵害事件は、「LINE(ライン)が提供していた“ふるふる”が、京都のIT企業であるフューチャーアイ社の「特許権」を侵害していると認めた判決」に関するニュース(5月19日付)です。
 判決は、特許を所有するフューチャーアイ社がLINE側に対して、特許権侵害として、3億円の損害賠償を求めたのに対して、1,500万円の損害賠償の支払いを命じたものです。
 ところで、「ワクチン特許」(あくまでも例えです)のような発明は、長い年月と莫大な資金を必要とする発明です。他方、「ふるふる特許」(あくまでも例えです)のような発明は、“ふっ”としたひらめきから成せる発明です。
 対極の「発明」になると言ったのは、このような意味です。
 「ふるふる特許」は、ペアリング等の技術もあり、判決文を見ていないため、1,500万円の金額が低すぎるかどうかの評価はできませんが、こちらの特許権は、発明者の方には失礼かもしれませんが、だれでも思いつき(着想)から成立させることができる「発明」でもあります。
    A子:このスマホの設定、面倒ね?
    B男:フリフリ動かすだけで設定できれば便利なのにな!
    A子:あたしの兄貴、電気系詳しいから聞いてみようか。
 の結果、今の時代であれば、電気系(コンピュータ系)に詳しい人であれば、「着想」に基づいて比較的簡単に設計までできてしまうかもしれません。
 このように、「発明」と言っても、「ワクチン特許」のように、何十億も費やさないと成立させることができない発明もあれば、「ふるふる特許」のように、ほとんどお金を費やすことなく思いつき(着想)だけで成立させることができる発明もあります。
 しかし、「特許」という視点からは、どちらも違いのない同一の「特許」であり、権利の強さや特許権の維持費なども全く同じになります。
 このように、「発明(特許)」は、だれでも、どのような立場にあっても出来るものです。
 現在、コロナ禍にあって、否応なく休業期間を強いられている人もいると思います。しかし、これを逆手に取り、新しい発明に挑戦できるチャンスの期間として捉えることもできます。

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下田茂
専門家

下田茂(弁理士)

みらい国際特許事務所 長野オフィス

個人から企業及び大学発明まで幅広く対応し、高い特許登録率を維持しています。持前の知財センスに基づき、特許権や商標権の取得はもちろんのこと、依頼者に満足して頂けることを第一に、広く深くアドバイスします。

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