サービス業と知的財産(1)
現在は、「ものづくり」であろうが、「サービス」であろうが、あらゆる分野にインターネットが浸透し、ビジネスを行う上では切り離せないツールになっています。
ところで、インターネットにビジネスを持ち込む以上、ビジネス自体が裸で世界中に晒されることになります。このため、容易に市場を開拓できるなどのメリットがある一方、デメリットも生じるため、これに対する対応策が必要になります。
特に、この対応策の中で「知的財産」に対する対策は重要です。今、新しいビジネスモデルをインターネット上に公開した場合を考えてみます。
この場合、このビジネスモデルは、一瞬にして世界中に公開されることになり、このビジネスモデルに含まれる新しいアイデアやネーミング等の「知的財産」も世界レベルでオープンになります。
この結果、自身の「知的財産」が簡単に他人に盗まれるリスクに晒されます。ただし、他人に盗まれるとしても自身のビジネスができなくなるなどのリスクまでには至りません。
一方、ほんとうに怖いリスクは、自分の行為が他人の権利を犯してしまうリスクです。例えば、サイト名(店舗名等)や商品名などは、世界中から見られる状態に置かれるため、google等の検索機能により簡単に見つけられます。
万が一、他人の商標権を侵害していた場合、インターネット上で使用している現在のサイト名(商標)や商品名(商標)等は使用できなくなるのみならず、過去の使用に対して損害賠償を請求されることも考えられます。この結果、最悪の場合、ビジネスを休止に追い込まれる可能性も生じてきますし、たとえ、休止を免れたとしても、サイト名や商品名等の変更を余儀なくされるなど、少なくとも自身のビジネスを進行させる上での大きなブレーキになってしまいます。
前回のコラムでは、“いきなりステーキ”を運営する会社が「ビジネスモデル特許」を取得し、実際に活用しているケースを紹介しましたが、この“いきなりステーキ”のネーミングは、商標(サービスマーク)として、この会社の重要な看板になっています。
検索しましたなら、“いきなりステーキ”のネーミングについても、既に、会社は、商標登録を済ませており、順調に成長する会社は、「知的財産」に対する対策も抜かりがないようです。
このように、ビジネスに、インターネットを利用する場合、大企業であろうが、個人であろうが、「知的財産」に対する対策は重要であり、特に、「商標」については、使用を開始する前に、入念な調査を行い、使用していく上で問題がないことを確認するとともに、「商標権」をベースに、安心して使用できるようにすることが、安定したビジネスを行う上で重要になります。