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ベンチャービジネスと知的財産…Ⅳ

下田茂

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テーマ:知的財産と経営


ベンチャーにおける積極的知財活用

 特許等の知的財産は、単に所有しているだけでは何も生まれません。何らかの形で有効に活用してはじめてその価値が生かされます。
 ところで、「活用」には二つの方法があります。「自ら活用する方法(積極的活用)」といわば「他人に活用してもらう方法(消極的活用)」です。
 ベンチャー企業の中には、他の中小企業に比べ、後者の例も相対的に多く存在します。つまり、研究開発を主な業務とし、特許等の知財を所有するとともに、自らは工場を持たず、他社に製造販売をライセンスする業務形態です。
 今回、取り上げたいのは、前者の「自ら活用する方法」です。
 中小企業に対する知財調査における「知的財産活動の効果」として、

     ① 模倣品や類似品の排除を可能にする   36.2〔%〕
     ② 信用力を得る             28.9〔%〕
     ③ 対外的なアピール効果を得る      25.6〔%〕
     ④ 新技術や商品等のブランドを高める   23.4〔%〕
     ⑤ 新規顧客の開拓につなげる       18.7〔%〕
     ⑥ 市場を独占する            11.6〔%〕
     ⑦ 価格付けに有利にはたらかせる     10.7〔%〕
     ⑧ 他社との提携など事業の幅を広げる   10.2〔%〕
     ⑨ 資金調達を容易にする          5.6〔%〕
     ⑩ その他                 2.2〔%〕
     ⑪ 特に効果はない            10.5〔%〕
            (平成25年度中小企業等知財支援施策検討分析事業「中小企業
              の知的財産活動に関する基本調査報告書/特許庁」より)

 との結果が公表されています。この結果から判るように、いずれの効果もベンチャービジネスを新規に立ち上げる際には有効に働く効果であり、「特に効果はない」との結果は1割です。
 このように、特許等の知的財産は、単に「独占的権利」を行使できるという以外に多彩に派生する付加価値を秘めています。したがって、これらを積極的に活用しない手はありません。知的財産はビジネスを成功させる有効なツールであり、上手に使いこなせば、ベンチャービジネスにとっては力強い見方になります。
 しかし、地方における中小企業やベンチャー企業の中には、特許性のある発明がそのまま活用されずに眠っているケースも少なくないと思われます。これでは宝の持ち腐れです。もしビジネスにつながるようなアイデアを持っているのであれば、自信を持って知的財産権として構築し、ビジネスがより強く安定し、飛躍するような活用を考えてみてはいかがでしょうか。私自身も、ビジネスを成功させる観点からその有効活用について積極的にサポートしていきたいと思っています。

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下田茂
専門家

下田茂(弁理士)

みらい国際特許事務所 長野オフィス

個人から企業及び大学発明まで幅広く対応し、高い特許登録率を維持しています。持前の知財センスに基づき、特許権や商標権の取得はもちろんのこと、依頼者に満足して頂けることを第一に、広く深くアドバイスします。

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