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下田茂

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下田茂(しもだしげる) / 弁理士

みらい国際特許事務所 長野オフィス

コラム

中小企業経営と知的財産

2013年8月17日 公開 / 2021年1月22日更新

テーマ:知的財産と経営

コラムカテゴリ:法律関連

 会社経営者であれば、特許等の知的財産を所有(活用)している会社とそうでない会社は、実際の業績にどのような差がでるのか?という素朴な疑問を持っていると思います。
 以前、弁理士会の実務研修において、弁理士による調査結果の報告がありました。それによれば、知的財産を所有している会社の方が所有していない会社よりも明らかに業績が伸びているという趣旨の内容でした。
 知的財産は「財産」である以上、無いよりも有る方がプラスの効果をもたらすと考えるほうが自然です。知的財産は単に所有しているだけでは何の利益も産みません。武器として活用(利用)することに意味があります。もし特許を所有しているにも拘わらず業績に結びつかないとすれば、そこに何らかの阻害要因が絡んでいると考えられます。
 ところで、知的財産の活用には、ハード面とソフト面の二つの活用方法があります。ハード面の活用は権利行使による活用であり、当然、強い権利及び広い権利が有利になります。したがって、ハード面の活用は、研究開発力のある大企業ほど有利になると考えられます。
 一方、ソフト面の活用は権利行使以外の活用となります。中小企業の場合、研究開発力のある中小企業も少なくありませんが、他方、研究開発力は強い方ではなく、特許等の知的財産権の取得は到底無理と思っている中小企業経営者も少なくないものと推測されます。
 しかし、知的財産の場合、ハード面が仮に弱い場合であってもソフト面の活用が残っています。特許の場合、特許として認められる合格ラインがあります。例えば、合格ラインが70点であれば、71点は特許が成立し、69点では特許が認められないことになります。
 この場合、69点の技術(発明)は事実として存在します。したがって、たとえ、特許が認められない場合であっても、少なくとも69点分は、ソフト面から正々堂々と活用すべきものと思っています。
 中小企業経営者は、仮に小さな発明であっても自信をもって権利化(知的財産化)を狙ってほしいと思います。そして、ソフト面を含めた経営上の武器として知的財産を活用し、会社の業績に結び付けてほしいと思います。私も実務面においては、「知的財産の取得は目的ではなくビジネスを成功させるための手段である」との考えの下、多面的な角度から知的財産の有効活用を勧めています。

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