AIの答えをうのみにしない|間違いを確かめるには、出どころを開く
仮に、社員の方が、見積書に添える文面を、自分のスマホのAIで作っていたとします。会社のパソコンより手元のスマホのほうが早い。仕事を早く終わらせたいだけで、悪気はありません。
ただ、このやり方だと、何をAIに入れたかが、会社からは見えません。今回は、社員が私用のスマホで仕事のAIを使う前に、会社が決めておくことです。
結論から書きます。私用のスマホは、仕事のAIにも、原則として使いません。使うのは、仕事用のスマホが無く、会社から指示されたときだけです。その場合も、入れるのは機密ではない一般的な資料に限ります。これを会社が先に決めて、社員に伝えます。
1. 私用のスマホのAIは、会社から見えない
私用のスマホのAIは、ふつう社員個人のアカウントで使います。会話の記録は個人のアカウントに残り、会社の管理する人は、設定を変えることも消すこともできません。退職したあとも、本人が消さなければ、記録は個人のアカウントに残ります。
個人のアカウントのGeminiでは、設定によっては、会話が人によるレビューを経て、サービスの改善に使われることがあります。設定を変えても、安全のために人が見ることはあります。Googleのヘルプには、見られたくない機密情報は「入力しないでください」と書かれています。仕事用のアカウントには、別の規約が適用される場合があるとも書かれています。
出典:Gemini アプリ ヘルプ「Gemini アプリのプライバシー ハブ」https://support.google.com/gemini/answer/13594961?hl=ja
2. 仕事のAIは、仕事用の端末と会社のアカウントで
仕事のAIは、仕事用のスマホやパソコンで、会社のアカウントを使います。私用のスマホは、会社のWi-Fiやプリンターにもつなぎません。
例外は、仕事用のスマホが与えられておらず、会社から「私用のスマホで作業して」と指示されたときだけです。その場合も、入れてよいのは、すでに社外に出しているチラシの文面のような、機密ではない一般的な資料に限ります。印刷が要るときは、会社のプリンターではなく、コンビニのプリンターを使います。
3. 線引きは、社員が迷わない短い形で渡す
決めたことは、3行で書いておきます。どの端末で使うか、何を入れてよいか、迷ったときに誰に聞くか、です。たとえば「仕事のAIは、会社のパソコンか仕事用のスマホで、会社のアカウントで使う」「お客様の電話番号や住所は消し、名前はAさんに置き換えてから入れる」「迷ったら、総務の○○さんに聞く」です。
書いたファイルは、書き換えられるのが決めた人だけの、共有のフォルダに置きます。仕事用の端末が無い社員には、紙でも渡します。
印刷でも、同じ線を引きました。会社のプリンターにつなぐのは、仕事用のスマホだけです。私用のスマホは原則として使わず、仕事用のスマホが無く、会社から指示されたときに限って、一般的な資料をコンビニで印刷します。詳しくは以前のコラム「ChatGPTで作った資料を、スマホから印刷するには|パソコンなしで紙にする」に書きました。AIも、同じ考え方で決めます。
4. 責めるより、使える道具を先に用意する
私用のスマホでAIを使っていた社員がいても、まず責めないことです。会社に使える道具が無いから、手元のスマホを使っていたのかもしれません。
先に、会社のアカウントで使えるAIと、仕事用の端末を用意します。用意できるまでの間は、会社のパソコンで使い、AIにお客様の情報や社内の数字を入れないように伝えます。そのうえで、私用のスマホは原則として使わないと伝えます。使える道具があれば、決まりは守られやすくなります。
まとめ
- 仕事のAIは、仕事用の端末と会社のアカウントで。私用のスマホを仕事のAIに使うのは、原則としてやめる
- 例外は、仕事用のスマホが無く、会社が指示したときだけ。入れるのは、機密ではない一般的な資料だけ
- 決めたことは3行で渡し、責めるより先に、使える道具を用意する
AIを使うこと自体を止める必要はありません。どの端末で使うかを先に決めておけば、社員は迷わずに使えます。


