人手不足の会社が、AIやITに任せられる仕事の見つけ方|人を増やす前にできること
お客様へのお詫びの文面を、AIに考えてもらおうとする。入力欄に、お客様の名前と電話番号、注文の中身まで貼りつけたところで、手が止まる。「これ、AIに入れて大丈夫なんだろうか」。
迷ったら、名前を「Aさん」に置き換えてから頼みます。 文面を考えてもらうのに、本物の名前や電話番号は要りません。ただし、その前に1つ。会社に決まりがあるなら、そちらが先です。決まりがまだなければ、社長が線を引きます。
以前のコラム「紙の表をGeminiで電子化|スキャナーなし、スマホだけ。一緒にやって20分」では、写真を撮る前に個人情報が含まれていないかを確かめる、と書きました。今回は、含まれていたときにどうするか、の話です。
先に確かめるのは、会社の決まり
会社によっては、「お客様の情報はAIに入れない」「使ってよいのはこのサービスだけ」と決まっていることがあります。決まりがあるなら、それに従います。置き換えたから入れてもよい、と自分で判断しないことです。
決まりがまだない会社なら、決めるのは社長です。分厚い規程でなく、紙1枚で足ります(以前のコラム「AIが社内に定着しない理由」)。
参考になるのが、国の個人情報保護委員会が2023年6月に出した「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」です。事業者に向けては、個人情報を含む指示をAIに入れるなら、その情報を集めたときの目的の範囲に収まっているか、入れた情報をサービス側が学習に使わないか、などを十分に確かめるよう求めています。求められているのは、入れる前の確認です。ChatGPTで、入れた内容を学習に使わせない設定の確かめ方は、以前のコラム「手書きの資料をChatGPTで見やすい資料に」に書きました。
置き換えの手順は3つ
- 貼りつける前に、名前・電話番号・住所・メールアドレス・生年月日・お客様番号を探す
- 名前は「Aさん」、会社名は「X社」に置き換える。それ以外は消すか、「(電話番号)」のように項目名だけ書く
- AIの答えが返ってきたら、手元で本物の名前に戻す

仮に、お詫びの文面なら「Aさんから、届いた商品の色が注文と違うと連絡があった。丁寧なお詫びの文面を考えて」で足ります。文面づくりに要るのは、何が起きたかと、どんな調子で書くかです。誰が相手かは、最後に自分で入れれば済みます。
名前を消しても、誰のことか分かることがある
名前を「Aさん」にしても、町名と年齢と「先月入院した」が並んでいれば、近所の人には誰のことか見当がつきます。顔の見える地域ほど、組み合わせで人が分かりやすくなります。
判断の分かれ目は、その人の知り合いが読んだら、誰のことか分かるかです。分かりそうなら、町名や年齢も外します。AIのサービスによっては、そのサービスを提供する会社の人(委託先を含む)が会話の一部を読むこともあります。病気や家族の事情のように、知られたくない話は、置き換えても入れない。そう決めておくのも1つのやり方です。
名簿を丸ごと入れない
名簿を丸ごと貼って「整理して」と頼みたくなることがあります。けれど、整理のやり方を教えてもらうだけなら、本物の名簿は要りません。
仮に、顧客名簿の中の重複を探したいとします。「氏名・電話番号・住所の列がある表で、重複を見つける方法を教えて」と聞けば、やり方は分かります。作業そのものは、手元の表計算ソフトでできます。見本が要るなら、実在しない3行を作って見せれば十分です。
名前などを自動で実在しない値に置き換えてから、AIに渡す仕組みも出てきています。ただ、道具を足すより先に、手で置き換える習慣があるかどうか。こちらのほうが、どの会社でもすぐに始められます。
まとめ
- 会社の決まりを先に確かめる。無ければ社長が線を引く
- 名前は「Aさん」に置き換えてから頼み、答えは手元で戻す
- 名前を消しても誰か分かりそうなら、町名や年齢も外す
AIに入れていいか迷って手が止まるなら、入れずに済む頼み方を先に覚えるほうが早い。宮崎のように顔の見える地域で仕事をしている会社ほど、この一手間を大事にしたいと思います。


