朗読劇「彼女のこんだて帖」 出演者の声 ⑦

長野淳子

長野淳子

テーマ:舞台・ステージ

◆「朗読劇にのぞんで」(佐藤稔)



スターマートの店主である 星野秋男 は、甥の修平にも、
社員やアルバイトたちにも、隠していることがひとつある。

それは、週に一度の料理教室通いである。
秋男は、二年前に妻を亡くしたばかりだった。五十二歳の若さだった。

妻がいなくなってから、日に日に恋しくなる料理があった。
「あれ」が食べたいなあ。しかしその「あれ」はどこにも見当たらない。

それで思いついたのが「料理教室」だった。
二か月、三か月と経つにつれ、秋男は何となく「料理の小さな真理」をつかんだような気がした。



そしてある日、天啓のようにひらめくものがあった。
「あれ」が、どんな料理だったか、突然分かったのである。



そうして作った「豚柳川」



「ああ、これだ!これだった!!」
「おれは、こんなに美味しいものを食べていたんだなあ」



秋男は、取り皿に取った料理をまだ新しい仏壇に供え、ちんと鉦を鳴らし、手を合わせる。
「これ、俺の自信作。また作る。楽しみに待ってろよ!」



「人間」という相手に伝える「手段」には、
歌・音楽・落語・講談・演説・会議・語り・朗読……etcと色々あります。

「自分の思いを相手にちゃんと伝える為には、出だしが特に大事である」
と常々思っています。

それが本番で、私はちゃんと出来るだろうか……?
私の思いを伝えることが出来るだろうか……?



そうこうしている内に、何とか無事に私の番は終了しました。



結果「始めよければ、終わりよし」という諺がありますが、
手前味噌ながら今回の自己評価では、最初からスムーズに入れて、途中何ら力むこともなく、
最後まで冷静に、熱く演じられ、自分では上出来だったのではないかと感じています。



今回は、これ迄以上にレッスンの回数も多く、私共々仲間の皆も、
最も充実した朗読公演の実現ができたと、思っているのではないでしょうか。



これはひとえに、長野先生並びに、舞台監督、影の声の俳優の方々のご指導の賜物と思います。
又、音響・照明・ヘアメイク・受付スタッフ・司会等の方々のご尽力によると、
心から感謝を申し上げます。



そして今回の朗読劇が、自分自身の朗読の第一歩であると言い聞かせ、
いつの日か、皆様と一緒に「レッツゴー朗読!!」と言えるようになるまで、
「朗読」を少しでも盛り上げられるように、益々の精進と努力をして行きたいと思います。 



今回の朗読劇に、それぞれに色々な楽しみを抱いてお集まり頂いた皆様、
本当にありがとうございました。 (佐藤 稔)


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