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朗読ボランティア  「杜の音通信」(No.66)

2020年4月5日 公開 / 2020年9月12日更新

テーマ:朗読

コラムカテゴリ:くらし

平成26年の9月から、月1回のペースで朗読ボランティアに伺っている 「ギャラリー杜の音」



66回目 を迎えた令和2年3月は、以下の4作品を朗読しました。

① 大橋 鎭子 : 作 「すてきなあなたに5」 より 「花ことば」
② 計良 ふき子 : 作 ・ 飯野 和好 : 絵 「つきごはん」
③ 向田 邦子 : 作 「父の詫び状」 より 「ごはん」
④ 川端 康成 : 作 「掌の小説」 より 「雪隠成仏」


① 大橋 鎭子 : 作 「すてきなあなたに5」 より 「花ことば」


大橋鎭子さん は、生活情報誌 「暮らしの手帖」 の創刊者として長年活躍された方で、
NHK の連続テレビ小説 「とと姉ちゃん」 でもおなじみになりました。

大橋さんの、物事に対する優しく温かい眼差しが私は大好きで、
これまで朗読会などでもその作品を読ませて頂きました。

現在も、毎週水曜日に ラジオ3 で放送している番組
「長野淳子のすてきなあなたに」 でも、朗読しています。



今回は、桜の季節 になると、必ず紹介するエッセイ 「花ことば」 を朗読しました。



桜の花が咲きそうな気配をいう 「花もよい」
咲き乱れる桜の花の白さのために、夜でもあたりが明るく見えることをいう「花あかり」

桜が咲くころに突然にくる寒さをいった 「花冷え」
満開の桜を、遠見のかすみに見立てた 「花がすみ」

川面に散った桜の花びらが、連なって流れていくのを 「花いかだ」
花を散らせる強い風も 「花あらし」 といえば許せる気がします。



むかしの人は、まわりを見まわして、ゆたかな自然を暮らしにとり入れ、
美しさを見いだしながら過ごしてきました。
いまその知恵を、しみじみと感じています。

② 計良 ふき子 : 作 ・ 飯野 和好 : 絵 「つきごはん」



昭和30年代の佐渡島の農家を舞台に語られるこの物語。
大切な人を失いながらも、それぞれが支えあって強く生きていく家族。

そして、みんなの心の中に、炊きたてのご飯の中に、今も生きているお父ちゃん。
湯気の立つごはんの絵。その向こう側に子どもたちは何を見るのでしょう。

飯野和好さんの描く家族の表情も、ずっと心に残ります。
悲しいだけでない、あたたかくて味わいのある絵本になっています。



今回は田中さんが、あたたかい家族の思いを、優しく語ってくれました。
杜の音の皆さんも、優しい眼差しで聞き入って下さいました。

③ 向田 邦子 : 作 「父の詫び状」 より 「ごはん」



「ごはん」 に関する幼少期の思い出。それは、東京空襲 の後に食べた昼餐。



「戦争」 「家族」
ふたつの言葉を結びつけると、私にはこの日の、
みじめで滑稽な最後の昼餐が、浮かんでくるのである。



杜の音の皆さんも、ご自身の戦争体験と重ね合わせながら、じっくりと耳を傾けて下さいました。

④ 川端 康成 : 作 「掌の小説」 より 「雪隠成仏」



「雪隠成仏」 は、「花見のトイレ問題」 を題材にした作品で、
「貸トイレ」 でひと儲けしようとした夫に起こる事件を描いています。
「明治の文豪がこんな作品を書いていたの?」 とちょっと意外な感じのする短編で、
くすっと笑えて、ちょっと怖い落ちがついています。

ちなみに 「トイレ」 は、実に様々な言い方があります。

「WC」 「お手洗い」 「化粧室」 「お便所」 「御不浄」 「はばかり」 「厠」 「手水場」
そして 「雪隠」

今回は、皆さんから出た 「言葉」 をホワイトボードに書き出していきました。
耳で聞くだけでなく、目で見ることで、より楽しんで頂けたようです。



読んでいる間の 皆さんからの 「笑い声」 や、読み終わった後の 「拍手」
「楽しかった」 の声が 「朗読して良かった~」 と思う瞬間です。
そうした声を励みにして、これからも 「朗読ボランティア」 を続けていきたいと思っています。


当日の詳しい模様は、こちらをご覧ください!
https://www.stage-up.info/contents/cat9/cat23/-23.php

この記事を書いたプロ

長野淳子

生きた言葉のプロ

長野淳子(ステージ・アップ)

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