「娘への手紙」
私は、月に何度か上京するために、新幹線を利用します。
乗るたびに毎回ドキドキしながら席に着き 「今日は当たり」 「今日ははずれ」 とつぶやきます。
先日は、一人の男性と 隣りの席になりました。
スーツ姿もバリッとしていて、なかなか感じのいい人です。
「もしかして今日は当たり!?」 私はちょっと嬉しくなりました。
後から来たその男性は、席に座りながら私の顔を見ると 「あっ!」 という顔をしました。
私は、以前お目にかかったことのある方かな? と思い、軽く会釈をしました。
すると、男性がおもむろに言いました。
「あの~この間もこの新幹線にお乗りでしたよね。 私、その時も隣の席でした!」
「まあ~そうでしたか~」 と言いつつも、全然覚えていない私。
男性 「いつもこの列車にお乗りになるんですか?」
男性 「そう言えばこの間も、何か台本のようなものを開いていらっしゃいましたね」
男性 「どんなお仕事をなさっていらっしゃるんですか?」
矢継ぎ早の質問に、私は 「もしかして今日ははずれ?」 と思い始めました。
東京までの2時間弱、質問攻めに会いそうで、ちょっと構えてしまったのです。
すると、そんな私の様子を察してか、その人は、
「ねほりはほりお尋ねして失礼しました。 私はこういう者です」
そう言うと、自分の名刺を差し出し、ご丁寧に自己紹介を始めました。
「怪しい者ではありませんので、安心して下さい!」
「ただ、2回も隣の席になるなんて、こんな偶然もあるんだなあ~と思って!」
「そうですね~」 と言いながら名刺を見ると、そこには珍しい姓が書いてありました。
「珍しいお名前ですね」 と言いながら、それと同じ姓の人が、中学時代の同級生にいたことを
私は思い出しました。
そして、私がそのことを伝えると、その人はとてもびっくりした顔になりました。
「もしかして、その同級生の名前は○○といいますか?」 と言います。
「ええ、確かそうですね」 と私がいうと、その人は笑いだしました。
「いや~参ったなあ~。それ、私の兄です!!」
そこからは、形勢が逆転しました。
「お兄さんお元気ですか?」 に始まって
今度は私の方がインタビュアーになってしまいました。
東京に着いた時、「お兄さんに宜しくお伝えくださいね」 と言って
私は、改めて自分の名刺を渡しました。
2回も同じ人と隣の席になり、しかもそれが同級生の弟さんだったとは・・・
今回は、何とも不思議な偶然の 「あたり」 でした。
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