医療保険制度を公的年金制度と同じように図示し、医療(入院)保険とがん保険を考えてみる。
「高齢になってからのほうが病気は心配」
おっしゃる通りだと思います。統計的に年齢を重ねるほどさまざまな病気(疾病)のリスクが高まるのは間違いありません。
ただ、その事実に備えるために「一生涯の入院保険に加入したい」を結びつける必要はありません。むしろ十分な再考が必要です。2つの視点です。
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1つめは保険料の払込総額です。
「高齢になってから」とは何歳からでしょう?
65歳からでしょうか、75歳からでしょうか。
では、何歳までを対象としましょう?
90歳まででしょうか、100歳まででしょうか。
将来の高齢な期間に備えるために、保険料はずっと払い続ける(終身払込)か、60歳や65歳などで払い込みを終える(短期払)加入方法を選びます。いずれにしても毎月の保険料は負担を大きく感じない額かもしれませんが、その払込総額を確認したいのです。
一生涯の入院日額5000円のために総額100万円や150万円を払い込む、一生涯の入院日額1万円のために総額200万円や300万円を払い込む。これが金融商品の1つ、保険商品の考え方です。
それらのお金を保険商品にせず、手元に確保するという選択肢があっても良いと考えます。これを緊急予備資金(生活防衛資金)と言います。
医療保険がすべての人に不要とは言い切れませんが、みんなが入っているからとか、当たり前に提案されるから加入するではなく、自分自身や家族に当てはめてどちらの方針を選ぶのかを考えたいところです。
<過去参照コラム> 医療保険は本当に必要か
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2つめは手続きの問題です。
遠い将来の高齢とは90歳や100歳でしょうか。
90歳や100歳のときに入院し、入院日額を受け取るための手続きは対応可能でしょうか。
保険会社に書類を請求し、届いた封筒の中から段取りを確認して自分の記入する書類と病院に作成を依頼する診断書などを仕分けし、病院に書類作成を依頼し、自ら保険金請求書類を記入し投函。不備があれば保険会社とのやり取りも発生します。
そもそもその年齢でどんな保障内容に加入しているのかを覚えていて、どんな段取りで手続きするのかを問題なく確認できそうでしょうか。
不安だからと何本も加入しておられるケースもあります。これは日額3000円、こっちは日額5000円、あれは70歳まで、それは一生涯。
年齢を重ねてからでも管理は問題なさそうでしょうか。その本数の請求手続きも問題なさそうでしょうか。
子どもや親戚が対応してくるから大丈夫というケースもあるかもしれません。子どもや親戚には契約内容がわかるように、書類のありかはきちんと伝えておかねばなりません。遠方にお住まいなどのケースでは大丈夫でしょうか。
相続した方々が「亡くなったときは入院していまして、保険金が出てきて助かりました」とおっしゃるケースも知っています。間違いない事実です。
例えば最期1ヶ月の入院で15万円や30万円が出てきたとして、高齢の場合の医療費負担が大きくなってしまうケースは多くありませんし、その保険金を受け取るために労力が発生しています。
「病気をしたときにはこのお金を使うように」と指定した預金を置いておく、保険商品の代わりにするという手法はいかがでしょうか。保険会社や病院とのやり取りが1つ減らせます。これを「じぶん保険」と言います。
<過去参照コラム> じぶん保険と緊急予備資金
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正解はどれか、最もお得だったのはどれか。これは将来になってみないとわかりません。
入院や手術などの条件を満たしたときだけに出てくる保険商品を活用するのか、自由度に制限のない手元資金にしておくのか、検討できる選択肢のある状況がたいせつです。
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