住宅取得資金の贈与の1,500万円非課税
相続した空き家を売ると、譲渡所得(売却価額-(取得費+譲渡費用)=売却益)にかかる税金が重くなりやすい。古い空き家だと土地の取得費が安いためその分だけ譲渡所得が大きくなる。相続した土地の取得費が分からないというケースの場合、売却価額の5%が譲渡所得を計算する上での取得費になり、仲介手数料などの譲渡費用を差し引いても、売却価額の9割ほどが譲渡所得とされる。
今年4月から、相続した空き家で条件を満たせば、この譲渡所得を3千万円まで特別控除することができる。条件を満たす不動産の譲渡所得は税率が20.315%なので、最大で約600万円の税金負担を軽減できる。
1981年(昭和56年)5月までに建てられた旧耐震基準の一戸建で、亡くなった人(被相続人)が一人暮らしをしていた空き家が対象。相続の発生から3年後の年末までに、建物を解体するかまたは新耐震基準を満たすようリフォームして売却する必要がある。
耐震リフォームにはコストがかさみ、その分高く売却できるとはかぎらないので、解体して更地での売却の方がリスクは少なそう。この場合、更地での引渡しの条件で売却に出し、買主が見つかってから解体するのが得策。空き家が建つ住宅用地の200平方メートルまでは固定資産税が本来の6分の1となる特例が適用されている。空き家を解体すると、この特例は適用されず税負担は増える。空き家があるかどうかは毎年1月1日時点で判定されるので、解体はそれ以降にして税負担が増えるのを避けたい。なお、売却までに一時的にでも相続人が住んだり、他人に賃貸すると、特別控除の適用はなくなる。
特別控除は税負担の軽減に有効だが、「相続税の取得費加算の特例」を活用した方が軽減の効果がより大きい場合もある。この特例は、相続した不動産や株式などの財産を売却する場合、その相続により納めた相続税を譲渡所得の計算をする上で取得費に加算できるもので、相続税の申告期限から3年以内の売却が対象となる。この特例は3千万円の特別控除と併用できない。相続税の負担が大きな人は、この特例を活用した方が税負担を軽減できるかもしれない。とりわけ、2014年(平成26年)末までに発生した相続では、複数の土地を相続した場合に、その複数の土地全体で納めた相続税を売却する一つの土地の取得費に加算できる。この税額が3千万円より多ければ特別控除を活用するよりも有利になるということもある。