銀行の常識は世間の非常識? ~【第2部】銀行業務のトレンドと今後の役割~

こんばんは、マネジスタ湘南社労士事務所です。
社会保険の「年収の壁」第2部、社会保険加入について掘り下げてお話しします。
はじめに
第1部で確認した通り、社会保険の適用拡大は避けて通れない流れです 。
経営者にとっての懸念は「法定福利費の増加」であり、従業員にとっての懸念は「手取りの減少」です 。
第2部では、社会保険料を「単なるコスト」ではなく「投資と保障」の観点で整理します 。
厚生年金は「元を取るまで何年?」
まずは、厚生年金加入の損益分岐点年齢を具体的な数字で検証します 。
月収10万円(標準報酬月額98,000円)で10年間加入したと想定します。
1.支払うコスト(10年間合計)
社会保険料合計:約166万円(健康保険+厚生年金)
厚生年金保険料のみ:約108万円
2.受け取るリターン(将来の年金増額分)
計算式:98,000円 ×0.5481%× 120か月= 年額 6.4万円
3.投資回収期間(PBP)
厚生年金保険料(約108万円)÷ 年金受給年額(6.4万円)= 約16.7年
→損益分岐点は「82歳」
65歳から受給を開始した場合、約82歳を超えれば、支払った保険料以上のリターンを得られます 。日本人の平均寿命を考慮すれば、回収の可能性が高いともいえます 。
企業の財務インパクト:年間コスト試算
新たにパート従業員が社会保険に加入した場合、会社負担は以下の通りです。
(東京都・2026年度を想定)
| 項目 | 料率 | 会社負担額(月額) |
|---|---|---|
| 健康保険料 | 10.00%(折半) | 約5,000円 |
| 厚生年金保険料 | 18.30%(折半) | 約14,150円 |
| 合計 | - | 約14,150円 |
※標準報酬月額98,000円として試算
年間では1人あたり約17万円の負担増となります 。
仮に5名の対象者がいれば、年間約85万円の利益が圧縮される計算です 。
これに加えて、事務処理コストやシステム改修費などの「隠れたコスト」も発生します 。
加入者の保障メリット
社会保険加入は単純に「負担増」だけではありません。
厚生労働省の資料でも、厚生年金加入によって将来受け取る年金額が増えること、健康保険加入によって傷病手当金や出産手当金といった保障が受けられることが示されています。
短期的には保険料負担によって手取りが下がる場面があっても、中長期の保障という観点ではメリットがあります。
| 保障内容 | 国民健康保険 | 健康保険等(協会けんぽ等) |
|---|---|---|
| 傷病手当金 | なし | あり(給与の約2/3を最長1年6ヶ月支給) |
| 出産手当金 | なし | あり(産前産後、給与の約2/3を支給) |
| 障害年金 | 障害基礎年金 | 障害基礎年金+障害厚生年金(障害等級1~3級) |
まとめ
第2部では、社会保険加入が従業員にとっては「80代前半で元が取れる投資」であり、加えて生活保障が付帯することを整理をしました 。
一方で、企業にとってはコスト増となります 。 第3部では、このコスト増を乗り越え、生産性向上や採用力強化につなげるための対策を整理します 。


