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セレンの効果

上村徳郎

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テーマ:セレン

セレンとは

セレン(selenium)は必須微量元素であり、セレノシステイン、セレノメチオニンとしてセレン含有たんぱく内に組み込まれ、セレン含有たんぱく(セレノプロテイン)として作用を発揮します。セレン欠乏症では心機能低下、動脈硬化、感染症、甲状腺機能低下、皮膚症状、筋肉症状が認められますが、これらの症状がセレン欠乏によるものかは補充によって改善の有無を確認することとなります。

透析患者におけるセレン欠乏症の臨床的意義
日本透析医学会雑誌 (1340-3451)54巻5号 Page191-201(2021.05)

【CKD診療におけるビタミンと微量元素】各ビタミン・微量元素の現況 セレン欠乏症
臨床透析 (0910-5808)37巻7号 Page667-675(2021.07)

セレンの作用

食品に含まれるセレンは体内に吸収された後、主に肝臓で代謝されてセレンを含むタンパク質「セレノプロテイン」の生合成に用いられます。セレノプロテインはセレンの必須な生理作用を担っており、活性酸素種(ROS)の除去に重要な役割を果たしています。一方、近年では過剰なセレノプロテインが糖尿病やがんの発症・進展に関与することが明らかになってきています。

解毒、甲状腺、自然治癒などにも必要

・グルタチオンペルオキシダーゼはグルタチオン存在下に過酸化物を還元無毒化する酵素であり、最初に同定されたセレノプロテインです。
・甲状腺ホルモンを活性化あるいは不活性化するヨードチロニン脱ヨード酵素もセレノプロテインです。
・セレノプロテインは抗酸化システムだけでなく成長・発育やエネルギー代謝にも深くかかわっています。

自然治癒力を維持、向上するためにはセレノプロテインを維持する十分なセレンの摂取が必要不可欠です。その一方で過剰なセレンの摂取は体調不良にもつながります。セレンは魚介類に多く含まれるほか、小麦や大豆などにも含まれますので食事での摂取を心がけましょう。

【食と健康を結ぶメディカルサイエンス 生体防御系を亢進し、健康の維持に働く分子機構】(第2章)食による生体防御系の活性化 抗酸化 セレノプロテインの機能と疾患 食とセレンの代謝
斎藤 芳郎(東北大学 大学院薬学研究科)
実験医学 (0288-5514)38巻10号 Page1654-1662(2020.06)

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専門家

上村徳郎(内科・腎臓内科医)

医療法人愛徳会 上村内科クリニック

内科・腎臓内科の治療を専門にさまざまな病気の要因となる生活習慣病の予防にも力を入れています。生活習慣病に関わる食生活や栄養の見直しを予防の基本とし、食事法などをアドバイス。テレビ番組などの医療監修も。

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