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メタボとビタミンD

上村徳郎

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テーマ:メタボリックシンドローム

近年問題となっているメタボリックシンドロームですが、ビタミンDによる改善効果が報告されています。

ビタミンDとは

ビタミンDはビタミンD2とビタミンD3に分けられ、ビタミンD2は植物に、ビタミンD3は動物に多く含まれており食事として摂取されます。また、ヒトを含め動物は日光による紫外線照射により皮膚でビタミンD3を生合成(内因性ビタミンD)しています。
ビタミンD3はミネラルの代謝や制御を司る重要なホルモンですが、最近の基礎研究やコホート研究からビタミンD3は糖・脂質の代謝や制御にも関与することが明らかになりつつあり、糖尿病やメタボリックシンドロームとの関係性が注目されています。

糖とビタミンD

糖代謝の中心的な役割を担うインスリンへのビタミンD3の関与を示す多くの報告があります。

・ビタミンD欠乏下ではインスリン分泌量は低下する。
・ビタミンD3はインスリン分泌と膵β細胞の機能維持に関与しており、糖代謝制御に重要な役割を果たす。
・ビタミンD不足の被験者に6カ月間ビタミンD(2000U/日)を投与するとインスリン分泌量が増加する。

脂肪とビタミンD

高脂肪食で飼育した肥満マウスや肥満ラットに1,25-(OH)2ビタミンD 3を投与すると(肝臓においてde novo脂質合成が低下し、β酸化が亢進し)肝臓での脂質蓄積が抑制されることが報告されています。

・肥満者では血中25-OHビタミンD3が低下している。
・25-OHビタミンD濃度が20ng/mL以下(ビタミンD不足と診断される)ではメタボリックシンドロームの発症リスクが高まる。
・内臓脂肪型肥満の患者は他のメタボリックシンドローム関連因子の保有率が有意に高く、血中25-OHビタミンD濃度が有意に低値である。

メタボを指摘されている方、肥満が気になる方はビタミンDの摂取を心がけてみてはいかがでしょうか。

【老化、加齢疾患研究を俯瞰し、健康長寿社会実現の夢を開く】
臨床に役立つQ&A ビタミンDと加齢性疾患の関連について教えてください
Geriatric Medicine (0387-1088)59巻7号 Page707-710(2021.07)

2型糖尿病男性患者におけるビタミンD栄養状態と内臓脂肪蓄積の関連
(The Relationship between Vitamin D Status and Visceral Fat Accumulation in Males with Type 2 Diabetes)
Journal of Nutritional Science and Vitaminology (0301-4800)66巻5号 Page396-401(2020.10)

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上村徳郎
専門家

上村徳郎(内科・腎臓内科医)

医療法人愛徳会 上村内科クリニック

内科・腎臓内科の治療を専門にさまざまな病気の要因となる生活習慣病の予防にも力を入れています。生活習慣病に関わる食生活や栄養の見直しを予防の基本とし、食事法などをアドバイス。テレビ番組などの医療監修も。

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