花粉症とビタミンD
不登校や学校・職場でのトラブルの原因として
発達障害(自閉スペクトラム障害、注意欠陥・多動性障害など)や慢性疲労症候群は考慮しなければなりません。
また、発達障害という診断はされていなくても
落ち着きがない 集中力がない イライラしやすい 朝起きられない
などの症状はありませんか?
もしかしたら栄養状態に重大な問題があるかもしれません。
眠れていますか?
多くの研究から半数以上の自閉スペクトラム障害の子どもたちが睡眠の問題を抱えていることが示されています。夜間の睡眠時間が短いと社会性・コミュニケーションの問題、多動、易刺激性、衝動性、不注意が起こりやすいことが知られており、睡眠障害を治療すると日中の症状が改善することが報告されています。そして注意欠陥・多動性障害においても睡眠障害が多いことがよく知られており睡眠障害を治療すると、やはり日中の症状が改善することが報告されています。
そして発達障害ではない人でも、睡眠不足は注意力低下、ケアレスミスの増加など実行機能に影響を与え注意欠陥・多動性障害のような状態になるのです。
むずむず脚症候群?
注意欠陥・多動性障害では「むずむず脚症候群」を伴うことが多くあり、これによる睡眠障害があると注意欠陥・多動性障害の症状が悪化することがあります。子供では「脚がこそばゆい」「脚の中に虫がいる」「脚がムニョムニョする」という表現、就寝前にマッサージをせがむケースが多くみられます。小児では鉄剤が有用なことから、注意欠陥・多動性障害の診療においては
血清フェリチン値のチェックが重要であり50ng/mL以下の場合はまず鉄の補充が行われます。
小児神経発達障害と睡眠障害との関連
Progress in Medicine (0287-3648)40巻3号 Page281-286(2020.03)
グルコース・スパイク?
また血糖値と慢性疲労症候群の関連も示唆されています。自閉スペクトラム症と注意欠陥・多動性障害が併存する神経発達症群の方に感冒(カゼ)を契機に慢性疲労症候群(原因不明の慢性で深刻な疲労や広汎な痛み、睡眠障害などの多彩な症状を呈する疾患)が発症した症例です。検査してみると低血糖とグルコース・スパイク(血糖値の急上昇・急降下)が認められたため食事指導が行われました。そして発症後5ヵ月で学習環境の調整を機に症状は改善し、慢性疲労症候群の診断基準からも外れました。
神経発達症群に合併した筋痛性脳症/慢性疲労症候群(ME/CFS)の1例
Comprehensive Medicine (1341-7150)19巻1号 Page40-49(2021.03)
鉄や血糖値の問題だけでなく、ビタミンB群やタンパク質の不足が原因であった症例もあり補充により改善しています。またマレーシアの研究では、注意欠陥・多動性障害児の1/3に摂食行動問題がありましたが発達障害ではない児では9.3%であったという報告もあります。
Nutritional status and feeding problems in pediatric attention deficit-hyperactivity disorder
Pediatrics International (1328-8067)59巻4号 Page408-415(2017.04)
学校や職場など環境の整備も重要ですが、今の食事や栄養状態を確認する必要がありそうです。
特に、スナック菓子やペットボトル飲料、カップラーメンなどに食事が偏ると、鉄不足、ビタミン不足、タンパク質不足や急激な血糖値の上下におちいりやすくなります。そういった栄養状態の悪化は問題となる症状と関連している可能性があります。
今行われている薬物療法も重要ですが、日常生活で改善できることがあるならば、より良くしていくことは大切です。鉄やビタミン、血糖値の変動などを測定してみてはいかがでしょうか。