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新型コロナウイルスと亜鉛

上村徳郎

上村徳郎

テーマ:新型コロナウイルス

新型コロナウイルス感染症の予防と治療に亜鉛が注目されています

亜鉛はもともと体に必要な微量元素であり、精神行動、骨格の発達、免疫機能、味覚の維持、皮膚代謝、生殖機能、インスリン合成などさまざまな役割があります。特に「味がしない」ときには亜鉛の確認が大切です。
また亜鉛欠乏の人には、感染しやすい、活力の低下、皮膚炎や脱毛、低身長、口内炎、貧血など症状がみられることがあります。
味覚異常
以前から免疫機能との関連が知られていたため、新型コロナウイルスとの関連も研究されています。
亜鉛の血中濃度と重症度を検討した結果、低亜鉛血症が重症化リスク因子であることが報告されています。
249 人の感染患者のうち、生存者の血清亜鉛値は 62μg/dLであったが死亡した患者は49 μg/dLと有意に低く、入院時の血清亜鉛値が50 μg/dL以上の患者と比較し50 μg/dL未満の患者では死亡するリスクが2.3 倍増加していました。
亜鉛はRNA ウイルスの複製を阻害すると同時に気道のバリア機能に関与し、抗炎症作用を示すことなどが関連していると考えられます。
抗体

亜鉛不足をきたす原因には

① 亜鉛の摂取不足
② 吸収障害
③ 亜鉛の需要増大(妊婦、授乳婦など)
④ 亜鉛排泄の増加(ネフローゼ症候群)
⑤ その他(過度なスポーツ時の発汗による喪失)などが挙げられます。
ダイエット中の人、妊娠中、授乳中の人、スポーツをする人も注意が必要です。

一方、亜鉛の取りすぎは銅が欠乏し、銅欠乏性貧血や歩行障害、感覚異常などの症状がでることがあるため注意が必要です。

各ビタミン・微量元素の現況 亜鉛および銅代謝
臨床透析 (0910-5808)37巻7号 Page661-666(2021.07)

気になる症状がある方、少しでも感染症のリスクを下げたい方は血液検査で亜鉛を測定し、不足している場合はサプリメントなどでの補充をおすすめします。

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上村徳郎
専門家

上村徳郎(内科・腎臓内科医)

医療法人愛徳会 上村内科クリニック

内科・腎臓内科の治療を専門にさまざまな病気の要因となる生活習慣病の予防にも力を入れています。生活習慣病に関わる食生活や栄養の見直しを予防の基本とし、食事法などをアドバイス。テレビ番組などの医療監修も。

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