漢方薬を用いた男性不妊症の治療
効能・効果を正しく理解して、安心して漢方を取り入れる
漢方医学における妊娠の考え方として、「養胎優先」という言葉があります。
妊娠中の女性には、体にさまざまな変化が起こります。
便秘やめまい、体熱感、頭痛、貧血、腰痛など、赤ちゃんをお腹の中で養っているがゆえに起こる症状です。
こういったことで悩まされ母体が不調であれば、妊娠そのものがつらくなってしまいます。
そこで、漢方医学では、妊娠による疾患の治療として有効性と安全性を重点においた妊婦さんへの漢方療法を行っています。
ここで気をつけていただきたいのが、市販薬でも「漢方薬」と表示している薬が多く出回っています。しかし、本来「漢方薬」というものは、漢方の歴史ある「金匱要略」(きんきようりゃく)の原典に基づく知識を得た漢方医が処方するものなので、安易に服用することはおすすめしません。
服用する際は専門の医師を受診し、母体にあった漢方薬を服用することが正しい治療法だと考えます。
妊娠中に避けなければならない三禁とは
的確な処方のもとで服用するのであれば問題が少ない漢方薬ですが、妊娠中に避けなければならない「三禁」というものがあります。
母体が下記のような状態になってしまう危険があるため、注意が必要です。
「過度の発汗状態」「極度の下痢症状」「多尿状態」の3点があげられます。
まず「過度の発汗状態」。妊娠すると汗が多くなることが想定されますが、過度に発汗すると脱水症状やナトリウムの低下を引き起こし、母体が危険な状態になります。
「極度の下痢」も同じく、腸内の水分を多く吸収してしまうので脱水症状を引き起こしてしまい、母体が不健康な状態になってしまいます。
「多尿」は、妊娠中頻尿になってしまうのは仕方ないことですが、妊婦検診で妊娠初期より尿検査で引っかかっている場合は糖尿病を併発する可能性も考えられるため、多尿の状態を把握しておくことが大切です。
他の症状で漢方を服用中でも、上記のように三禁を促す成分が含まれる漢方は避けるべきです。
便秘薬などに含まれる「大黄」は瀉下作用や子宮収縮を促す成分が含まれていますし、風邪などでよく耳にする葛根湯には「麻黄」という発汗を促す成分が含まれています。また、「乾姜」には利尿作用成分が含まれているため、妊娠中の禁忌薬として扱われています。
母体を健康に保つ事が一番大切です
大切な命を養う女性の体。妊娠すると、10カ月という長い月日を胎児と共に過ごしていくことになります。
その中で、今までに経験したことのない体のトラブルを起こしてしまうケースが報告されています。そういったつらい状態を我慢し続けるのは、母体そのものによくありません。
主治医へ相談し、本当に必要なお薬を処方してもらいましょう。専門医であれば余分な薬は出さないはずです。また、妊娠中のさまざまな悩みを少しでも軽減していくためには、普段から食生活や運動、ストレスと上手く付き合う方法など、自分が健康でいられるための工夫をしなくてはなりません。
妊娠は病気ではありません。赤ちゃんはあなたというお母さんを選んで宿ったのですから…。すばらしい奇跡を大切にするためにも、お母さんが「健康」な生活を送ることが赤ちゃんにとって何よりの栄養です。