コロナショックで、また老舗が消える
日本のど真ん中ともいえる、銀座・和光前の交差点に立ち続け、托鉢修行を
続けていた僧侶が、新型コロナに感染し1月18日に帰らぬ人となった。
亡くなったのは真言宗の僧侶、望月崇英さん、まだ66歳の若さだった。
望月さんは、学卒後米国に渡りミュージシャンを志していた。
40代半ばで帰国し、高野山で修行し僧籍を得て仏門の世界に入り
銀座・和光前の交差点で托鉢修行を始めた。始めてから半年後に、あの「3.11」が起きる。
10年前の東日本大震災で、望月さんの環境は大きく変わる。
大震災発生直後から各被災地に入り、多くの遺体が弔いもなく埋葬される様子に
心を痛め、亡骸に白菊を手向け、鎮魂の祈りをささげた。
暫くは毎週、毎月ごとに被災地に入り弔いを続けていた。
そして、銀座交差点での托鉢修行も続ける・・・
しかし、昨年暮れに体調不良を訴え救急車で運ばれたが、
結果は新型コロナの感染であった。最後の托鉢は年迫る12月26日だった。
数年前筆者は東京に出向いた際に托鉢中の望月さんと、お話をしたことがある。
「托鉢は死ぬまで続ける」と話していた望月さんの凛とした立姿は、
昨日のように思える。
いま、望月さんが立ち続けた場所には、彼を慕う人たちが花を手向けてあった。
新型コロナは突然、人間を非情に追い込むことを決して忘れてはいけない。
望月崇英さんの「死」を無駄にしないためにも・・・