大富豪が、ばらまく二酸化炭素
現在でも海底トンネルとして世界最長の青函トンネルは(53.85㎞)、今年開業して丸30年を迎えました。
この30年の間に約5,500万人がこのトンネルをくぐり、本州と北海道を結ぶ輸送面では大きな役割を果たしています。
世界に誇る我が国の土木技術で作り上げたこの海底トンネルも、いまここに来て建設時に想定していなかった、多くの難題に直面しています。
まずは30年経過にともない老朽化が進んでいます。毎分18tの漏水がありその排水に追われています。もし、この機能が完全に停止するとこのトンネルは1週間で完全に水没するそうです。
また本坑にさきがけて堀削した先進導抗は、近年では設計時に想定していなかった変形がいたるところで発見されています。塩分を含んだ漏水がレール付着し、軌道の腐食も進んでいます。
写真は先進導抗内の様子
さらに、約82㎞の新幹線と貨物列車との共用区間があり、新幹線が在来線特急なみの時速140㎞でしか走行できない点もあります。
新幹線と貨物列車が高速ですれ違うと強い風圧が発生し、貨物コンテナが荷崩れする危険があるからだそうです。
この難問を抱えるトンネルの維持に年間約40億円を要し、そのうちJR北海道の負担分は約14億円。JR各社の中でも経営基盤の弱い同社にとっては、頭の痛い問題となっています。
よく30年を1世代と言われますが、この青函トンネルに限らず、事業経営、人材育成等々「次の世代(NEXT GENERATION) = 次の30年」の事を、時にはより真剣に考えてみる時間を持つことも重要かと思います。
因みに、青函トンネル計画は1954年(昭和29年)9月に青函連絡船「洞爺丸」が台風に遭遇し転覆、1,000人以上の犠牲者が出たことをきっかけに建設へと向かいました。
1964年(昭和39年)に北海道側より工事が始まり、24年の期間と約7,000億円の費用を投じて完成したものです。