呆れかえる「落書き」
みなさんご存知の特別名勝・兼六園は、引き続きの新幹線効果で2015年度は来園者数が308万人、前年比52%増という、いままで以上に地元石川が誇れる観光名所です。
その中で、入園する際に渡されるパンフレットや、園内の案内図にも掲載されていない「ある場所」があります。
今回は、その「ある場所」のご紹介と、それについて感じたことについてペンを走らせます。
「松の傷」と書かれた案内板が立っています。その傍らにひっそりと立っている松の木には、ハート形の大きな傷があります。ちょうど71年前の昭和20年6月頃に、時の政府の指示により軍用航空機用の燃料として、松の木より「松脂 (まつやに)」を採取した時の傷の跡です。
たぶん、308万人の来園者の中で気がつかれた方は皆無ではないかと思います、また地元、石川県の方でもこの松の木を知っている方は、少ないのではないでしょうか?
当時は敗戦色が強く軍事用の燃料も逼迫し、現代社会では考えられないような「松脂」を航空機の燃料にしなければならないという事態までに、我が国は追い込まれていたことが、この松の木から想像ができます。
現代の視点から考えると、明らかに「環境破壊行為」と言えますが、逆に当時71年前の視点から考えると、約70年先(現代)は「地球温暖化が進み、その影響で異常気候等が起こっている」とは、だれ一人として想像しなかったと思います。
格言の一つに「賢者は歴史より学び、愚者は経験より学ぶ」がありますが、この傷がある松の木は、現代人の私たちにそれを暗示しているように見えます。
これから70年先の人達が、この松の木を見て、「戦争による破壊行為から、地球温暖化による破壊行為へと変わったに過ぎない」と嘆かけさせないようにすることが、今の私たちの努めだと、この松の木を見て思いを新たに致しました。
兼六園へ行く機会がある時には、一度この松の木を訪ねてみてはいかがでしょうか ?
場所は梅林の近くです。