できる感覚を知っていればまた出会える
自分の仕事
東京でWSをしたときに
私自身の対価とか
無料で公開している情報量が多いことについて
心配して下さる方があった。
私がバレエクリニックをずっと教えて頂いた田口恵里子先生は
「私が教えたことを自分で消化したものは、もうその人のもの」
とよく言われた。
今になれば、それははっきりとした実感として、感じられる。
先生に教えていただいたものをそのままコピーしたとしても
それはただの真似事。
自分にスポンジのように取り込んで消化し、濾過して
使い重ねていくと
自分自身を構成する一部となっている。
もうそれはコピーではなく、自分自身のエキスになっている。
教えられたものをどう会得して、どう育てどのように使うか
何に活かすか、それはそれぞれで違う。
こうもおっしゃった。
「伝える者」であると。
自分の中には、いろんな先生に教えて頂いたことが存在している。
踊りや体の使い方だけでなく、先生方が培った人間力や経験も含めて
先生方が自分の中で育てられたことを伝えて頂いている。
伝えて頂いたことは、先生方も受け止められた時点から変化して
伝えられているはずで
試行錯誤して教えて頂いた分だけ、色も香りも変化しているはずである。
だから私が教えて頂いたことも
自分自身が理解できる意識の言語にして、自分の体ならどうするのか
自分の感覚ならどうなのか、探りながら
自分の中にいつしか入り込んでいる。
人に伝える時には、それをまた噛み砕いたり
その人に伝わりやすいものにして伝える訳だから
本質は同じでも違っている。
これがコピーのままだったら、自分の努力不足と言うしかない。
コピーのまま、人に伝えるのは恥ずかしいことだ。
踊りはうまくなるかも知れないが
人間力は成長しなかったと言うことである。
メソッドだけ伝えてもそれは形でしかない。
形を伝えても、活きたものにならない。
どうしたら、その人の身になるか考えてしたことはオリジナル。
他の人がそれを見て、自分のものにできたならば
それはその人の努力の成果だろう。
求めて来られた人には
リアルタイムのオリジナルを出来る限り伝える。
それが自分の仕事であるし
来られた人のことを考えていくのは、自分がその人に育てて頂いているようなものだ。
コピーで教えたら、自分は消耗してしまうが
リアルタイムで反応して、その人に役立つことを考えるのは
自分を成長させる大きなエネルギーになる。
伝えさせていただくことは、片道切符ではない。
どれだけ多くを頂くか計り知れない。