本当に求めていることだけが自分のものになる
創作作品を踊ること
クラシックバレエと違い、モダンには「パ」と言うものがない。
「そこでスースー、グリッサード、グランジュッテね」
と言うように、言葉で表現できるものではない。
全ての動きは、作者が作ったものだから、似ていても同じものはないから
見て聞いて感じて覚える。
もちろん説明もしてもらえるし、動きも見せてもらえるし、質問もできるが
形だけを覚えても、OKとは言われない。
形だけを真似れば、ただの人形のようになってしまう。
表現していくことをいったん自分の心と体に入れて馴染ませ、
自分の体の軸がどう動くのか、okを言われなければ、どこがどうなのか
できている人と自分はどう違うかを見ながらろ過して、自分で消化する作業がいる。
モダンには「オフバランス」もある。
クラシックなら「オンバランス」だが、オンバランスができていないと
オフバランスは限りなく不細工になる。
形で覚えるとこれは難しい。
どんなジャンルの踊りでもそうだろうが
全く同じ動きであっても、人が違えば違うものになる。
その人の環境、性格、経験、考え方、ものの対し方、
全て同じ人はいないから当たり前だが、これが踊りの中では
全て出る。
作品を踊れば、その人がなんとなくわかってしまう。
逆に、それが感じられるから素敵に思えたりする。
折田 克子先生のお母様、石井 みどり先生は
「王子様、お姫様はいらない。
あなたがいるんです」
とおっしゃったと聞いている。
レッスンでは、自分の体を少しでもいい状態にしていく努力
苦手なこともいい方向に向けて行く鍛錬がいるが
作品を踊る時には、「自分」がいるということだ。
自分で考え、理解し、体で実感したことを踊る。
ただなぞっただけのものでは、人には伝わらない。
人に伝わるのは、テクニシャンだから必ず伝わると言う訳でもない。
単に脚が上がるから、高くジャンプできるからではない。
目に見える動きにその人のあらゆる軌跡を感じるから
人は感動する。
そしてそれは私にも、あなたにも不可能ではない。
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うまさきせつこモダンバレエ研究所
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