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コラム

聞いてくれる人はいますか

2017年8月24日

テーマ:人間関係

コラムカテゴリ:メンタル・カウンセリング

「聞いてくれる人がいますか?」
人間生活をしていくうえで、本音―建て前・こころの表―裏の使い分けは必要です。
この両方の差があまりないのに越したことはないのですが、昨今の複雑な人間関係や情報社会を生き抜いていくには、簡単にバランスがとれるものではありません。
ある若者の事例で、集団内でみなそれぞれが「やさしい」とお互いに言い合います。こんなやさしくしてもらえたことは今までないとまで言わしめてしまいます。それならその後の人間関係も穏やかで、協働しながらそして自分自身の生活も地に足がついたものになっていきそうなものですが、使い慣れた「建前・表」の世界が今まで以上に前面に出てきている状態になっているようです。
嫌な本音・裏の自分をより抑えてしまうのかもしれません。
どうやら本音は幼さ・未熟な自己中心と錯覚している節もあります。
世間でも謳われている「自然に」、というキーワードにも力が入り裏を抑え込んでいるようにも見えます。
人間の裏の世界を以前は賄ってくれる装置がいくつもあったと聞きます。おじいさん・おばあさんであったり、地域の世話役さんであったり、タバコ屋のおばちゃん、床屋のおじさん、街へ出れば裏通りで赤ちょうちんやら行きつけで一杯やって愚痴って家に帰る、井戸端会議に花を咲かせるなどなど・・・
今は聞いてくれる人が少なくなっている、エコながらなんか明るい、表通りも裏通りもなく皆一緒。
知らず知らず表の世界でしか生きられないように仕掛けられているようでもあります。
それが生きていくうえで「格差」という違った形として若者に多大な課題を突き付けているようにも感じます。
若者は何に気を許しているのでしょうか。
先ほどの事例の若者も、裏のことがいっぱい溜まっていました。それを話してくるようになってから、肩の力が抜け、穏やかな優しい表情がよく出てくるようになってきました。焦りは続くけれど、ひとりで立ち往生していたころと違って、今は話せる人を携えている安心感がそうさせているようです。
現代は、専門家である臨床心理士や、カウンセラー、精神科医などが裏の世界を預かる役目を負っているのかもしれません。
しかし専門家といっても何かと問題はありますが…それはいずれまた。

この記事を書いたプロ

須田泰司

日本臨床心理士資格認定協会の認定プロ

須田泰司(京口カウンセリングセンター)

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