舞鶴市立青葉中学校区PTA人権講演会

長谷川満

長谷川満

テーマ:教育・人権講演会

11月22日(火)は舞鶴市総合文化会館で人権講演会がありました。



テーマは「自信とやる気を引き出すプラスの問いかけ」。
聞いてくださるのは舞鶴市立青葉中学校区の保護者および教職員の方々です。



思春期の発達課題「精神的自立」とは


「今日はまず、子育てのゴールとはどこにあるのかについてお話ししたいと思います。
 子育てのゴール。
 これは様々な考えがあると思いますが、
 子どもの精神的自立と経済的自立
 と考えるのが最も一般的と言えると思います。

 経済的自立というのは自分の稼いだお金でちゃんと生活していけるということです。
 精神的自立とは、自分で考えて自分の意思で決めることが出来るということです。
 思春期の発達課題がまさにこの「精神的自立」です。
 思春期とは概ね12、3歳から17歳までの約5年間くらいをいいます。
 この間に子どもは自己決定できる精神的自立を達成しなければなりません。

 習い事を続けるか、やめるか。
 部活を何にするか。
 それを続けるか、やめるか。
 高校や大学をどこにするか。
 それらを子どもは自分で考えて自分で決めるという課題を持っています。

 親が色々と口を出すことはこの発達課題の達成を邪魔することになります。
 だから高校入試で最も大切なことは、
 どこの高校に行かせるかではなくて、
 子どもが自分で決めるということです。」
 
 そのあと「自分で決める」という発達課題をクリアすることによって、不登校を克服し前向きに大学受験に取り組むようになった生徒の事例をお話ししました。

子どもとの対話の重要性

 親が普段、子どもにかけている言葉ってどんな言葉が多いでしょう。
 「早くしなさい」
 「もう宿題したの?」
 「何回言ったらわかるの」
 「いい加減にしなさい」
 こんな言葉が多いでしょうか。
 実は親が子どもにかける言葉の8割以上は注意・命令・禁止・叱責なんですね。
 これでは自信もやる気も引き出せません。
 これらは全て上からの一方通行の言葉で対話になっていかないからなんですね。

 自信ややる気を引き出そうと思ったら、もっともっと子どもと対話をしなければなりません。
 ちょっと例を出してお話しします。

なんで英語なんて勉強しなあかんの?

 中学生くらいになったら
 「先生、なんで英語なんて勉強しないとあかんの?」
 なんて訊いてくる子がいます。
 そんな時私はこう問い返すようにしています。
 「なんでやと思う?」
 「え?海外旅行に行った時に困るからかなあ・・」
 「海外旅行に行ってる人で英語喋れへん人いっぱいいるよ。」
 「そうなん?じゃあ、仕事する時にいるからかなあ・・」
 「そうやなあ・・。〇〇君は将来、何になりたいの?」
 「え?僕?スタントマン。ハリウッド映画に出るようなスタントマンになりたい。先生、ハリウッドってアメリカか?」
 「ハリウッドはアメリカやで。」
 「そしたら僕、英語喋れなあかんわ。」
 「ほんまや。先生が英語わかりやすく教えたるやん。」
 「英語、がんばろ。」
 
 こんなふうにして子どもの思いや考えを聞こうとして問いかけていくと、対話が成立してそういう対話の中で子どもが自分で答えを見つけていく。
 それは親が一方的に押し付けた意見ではなくて、子ども自身が自分で考えて自分で出した結論ですから、行動が変わる可能性も大なんですね。
 
 それだけじゃなくて、いつもそういうふうに子どもの考えを聞こうとして子どもに問いかけていると子どもは自分で考えるようになるし、自分で出した結論に責任を持つようになります。
 つまり子どもの主体性を育むことになるんですね。

 子どもの気持ちや考えを理解しようとして問いかけることによって、その子に対する愛情とその子を尊重する態度を示すことにもなります。それが親子関係をさらに良好なものにします。

 でも、この問いかけにもプラスの問いかけとマイナスの問いかけがあります。

プラスの問いかけ、マイナスの問いかけ




 プラスの問いかけは子どもの考えや気持ちを聞こうとするもので、このよう に問いかけられると子どもは、自分は大切にされている、認められている、愛 されていると感じます。
 このように感じるとき、子どもは自らの内に宿る『自 己成長力』を発揮し、主体的・意欲的に物事に取り組んでいくようになります。 
 
 

まとめ

 その後、資料「自信と意欲を引き出す親子関係の作り方〜自己肯定感を育てる関わり〜」をもとにどのようにすれば子どもの自己肯定感を育て、高めていけるのかを事例やエピソードとともに解説していきました。
 
 子どもの気持ちや考えをよく聞くように心がけ、できる限りそれを尊重してあげることで子どもは自己肯定感を高め、前向きに物事に取り組むようになります。
 その結果として思春期の発達課題「精神的自立」が達成されるのです。

 

終わりに

 会場で参加してくださった皆様には講演の終わりにお一人お一人それぞれ違う100種類の詩をプレゼントしました。

 講演を聞いてくださった皆様、お世話くださった皆様、本当にありがとうございました。
 またお会いできる日を楽しみにしています。

 

感想


*今日は、幸せは気が付くもの、人生は笑う練習など素敵な言葉を一杯いただきました。有難うございました。

*否定から入らないこと。教育においても大切なことだと思います。自分の学級の児童にどんな声かけをしているのか今一度見直してみようと思える良い機会でした。

* 子供の意見をしっかり聞き、自分で決めさせることの大切さを改めて知った。
迷いがあれば、最後まで一緒に付き合ってあげて、ぎりぎりまでねばり、自分で決めさせることにより、精神的に自立させることができるような親でありたいと思った。
ありのままの自分でも、子供は愛してくれる、許してくれているというのを聞いて、深く感動しました。
今日はとてもよい講演をありがとうございました。
役員の皆様もありがとうございました。

*大変わかりやすく、聞きやすい講演でした。教師側としての参加でしたが、保護者の気持ちがよく伝わる内容だったと思います。一教師としても、無条件の愛を子どもたちからもらっているという自覚を持つとともに、そのような大切な子どもを預かっていることを忘れないようにしたい。

* 貴重なお話をいただき、ありがとうございました。私自身はまだ子どもはいませんが、今後児童たちとどのように関わっていくか、子どもができた時にどのように関わるかとても勉強になりました。
ありがとうございました。

*自立のために、親が子どもの自己決定の機会を奪ってはならない。悩みに寄り添い、ひたすら待つことが大切だと思う。
7つの関わりの中では、まず話をよく聴くことをしていきたい。学校の話、友達の話、先生の話、話したいことをあるがままに聴いていこうと思う。
「なんで」確かによく使ってしまう。元気であればそれでいいと、心に余裕を持つことも大切にしたい。

* 子どもたちは無条件の愛を受けているというお話がとても納得できました。私はまだ結婚もしておらず子どももいませんが、教師という子どもと関わる立場として、心に留めておきたいと思いました

*幸せはなるものではなく気づくもの。とても心に響きました。沢山の幸せに気づくことができるとても幸せな時間となりました。ありがとうございました。

*素の笑顔ができる家庭をつくれるよう、今回の講演を活かし子供たちとの会話をしていきたい。
父親向けのお話も聞いてみたかったです。

*大変心温まるお話で引き込まれました。心に染みました。親子のお話が中心でしたが、学校現場でも子どもに対するプラスの問いかけがとっても大事なので、目の前にいる子どものそのままを受け入れて認めて許して、愛を持って関わっていこうと思いました。ありがとうございました。

*いつも心に留めておきたくなるようなお言葉をたくさんいただけました。幸せを感じることができるだけの心の余裕が持てるように、生活の様々な場面で見方を変えていきたいと感じました。ありがとうございました。

*相手を信じて待ち、そして、最後は期待通りでなくても許す。仕事をしていていつも大切にしていることです。

*久々に生で講演をゆっくり聴かせていただきました。ありがとうございました。 
今日の長谷川さんのお話は正に今の私に突き刺さるお話でした。
子供たちには将来私のように何もできない大人になってほしくはないと思い、いつの間にかマイナスの問いかけばかりの毎日を過ごしていたことに気付かされました。それはショックと共に、大切なことを今一度改めて考えさせらた瞬間でした。
あなたのままでいい!自分にとっても自信につながる一言を子供にも毎日の生活の中で伝えていきたい、そしてそれが笑顔で一緒に過ごしていくことに繋がっていけばと思います。
子供に少しずつプラスの問いかけを増やしていけるようにしたいです。
今日は素敵な講演をありがとうございました。




 
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長谷川満(家庭教師)

家庭教師システム学院

発達障がいや不登校の子の意欲を引き出すには自己肯定感を高める必要があります。その子のありのままを受容し、信頼関係を築き、成功体験と褒め言葉で自信と意欲を引き出します。

長谷川満プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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