発達障がいの子の学習支援(指導)における5つの留意点

長谷川満

長谷川満

テーマ:発達障害特性を改善する接し方

発達障がいの子の理解


 発達障がいと一口に言っても、子どもによってその程度や様態は様々でそれぞれがレアケースです。
 ただ、共通している部分もあります。
 それはどの子も大なり小なり「不安が強い」ということです。この不安感からいろいろな困りごと、例えば偏食やこだわりや癇癪などが起こっていると考えられます。(この点について詳しく解説しているページ→https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/5022579/
 ですから発達障がいの子に接する上で一番大切なのは「安心させてあげる」ということです。
 
 「安心させてあげる」とは、わかりやく言うと「あなたが嫌なことや、やりたくないことは無理にさせたりしませんよ」と言葉と態度と実際の行動で優しく繰り返し伝えてあげるということです。

 発達障がいの子は例えるなら、言葉も文化も宗教も違う「外国からの留学生」です。
 外国からの留学生ですから、言葉で説明されるよりも絵や図で説明される方がわかりやすいです。まだ言葉で上手く説明できないので、直接的に行動で表現します。すぐに手が出たり癇癪を起こしたり、勝手にどこかへ行ってしまうのはこういう訳なのです。

 これらの子どもたちにはその子独自の決まりごとやこだわりがありますが、彼らが外国からの留学生だと考えるなら、その習わしや文化、宗教を尊重するようにこの子たちのこだわりも尊重するべきだというのも理解していただけると思います。

 発達障がいの子どもは他の子に比べて敏感だったり、不安が強かったり、こだわりや特性、個性が強いので、特別な配慮がなければ幼稚園や学校といった集団生活には馴染みにくいものです。
 しかし、この子は留学生でまだ日本の生活や学校に慣れていないだけだと考え、無理なくゆっくりと慣れていけばいいよと優しく接してあげれば、この子たちも安心できてより早く集団生活にも馴染めるようになります。

 そういう意味では周囲の理解が最も大切です。特に親と先生の理解が重要で、その子が安心して学校生活が送れるかどうかはそこにかかっていると言ってもいいでしょう。

発達障がいチェックリスト(小学5年生以上)


・言葉の発達が遅かった
・口頭での指示、説明がわからない
・問題文に書かれている意味がわからない
・今から3時間50分後がわからない
・足し算で指を使う
・じっと座っていられない
・みんなと同じ行動ができない
・勝手にどこかに行ってしまう、帰ってしまう
・急な予定変更を嫌う
・嫌なことは断固拒否
・宿題をしない
・こだわりが強い
・すぐ手が出る
・怒るとパニックになる
・まとまりのある話、順序立てた話が出来ない
・怒られることをとても嫌う
・失敗や負けをとても嫌う、避ける
・しばしば登校を渋る
・偏食がひどい

*8個以上当てはまると発達障がいの疑いがあります
 

発達障がいの子の学習支援(指導)における5つの留意点


 では、次に本題である発達障がいの子の学習支援(指導)における5つの留意点について解説していきます。
 

  • 1、叱らない。ダメなど否定語を使わない。
  • 2、楽な問題で成功体験を積ませる。
  • 3、たくさん褒める。(喜びの共有体験)
  • 4、嫌がることはさせない。(信頼関係)
  • 5、特性を受け入れる。(理解者になる)


1、叱らない。ダメなど否定語を使わない。


 発達障がい傾向のある子は叱られることが大の苦手です。「ダメ!」と言われると即座に怒ってしまう子も少なくありません。
 「ダメ!」の代わりに「ちょっと待って」「どうしたいの?」と優しく声をかけて「こうしようか」とか「そういう時にはこうしてごらん」と代替行為を教えてあげることも大事です。

2、楽な問題で成功体験を積ませる


 この子たちは失敗することや負けることが大嫌いです。失敗したり負けたりするだけでも癇癪を起こしたり、そこまでいかなくてもそのことが嫌いになったりやる気をなくしたりする傾向があります。
 ですから学習場面では失敗させないような配慮が必要です。「わからない」「できない」ことが続くと途端に意欲を失うからです。
 まずはその子にとって楽な問題から始め「わかった」「できた」という成功体験を積ませることが大切です。そうすることで徐々にその学習に対して興味や意欲が湧いてきます。発達障がいを改善する上で一番大切なのは本人の「できるようになりたい」という意志です。成功体験を積ませることはその意志を呼び起こす上でとても重要です。

3、たくさん褒める(喜びの共有体験)


 この子たちは叱られることや失敗すること、負けることは大嫌いですが、その分褒められることは大好きです。
 その子が上手くやれた時に言葉で、表情で、全身で喜ぶ。その子と一緒に「できた」喜びを共有する。それが褒めることの本質です。
 そして、これがこの子たちとの心の絆を深め信頼関係を築くことにつながります。
 そういう意味で言えば、喜びだけでなく、悲しみや寂しさ、辛さも共有することで心の絆や信頼関係は深まります。
 「共に喜び、共に悲しみ、共に支え合い、助け合う」
 そういう関係こそがこの子たちの自己成長力を促し、発達を助けます。
 

4、嫌がることはさせない(信頼関係)


 この子たちと信頼関係を築く上で大切なのは「嫌がることはさせない」ということです。
 そうすることで彼らは安心できます。
 まず、安心してもらうことが信頼関係を築く土台なのです。
 彼らが嫌がることの多くは苦手なことです。しかし、親や先生はそこを出来るようにさせたいので、その子が嫌がっていてもしつこくやらせようとするのです。これは逆効果です。
 彼らは苦手なことは避けがちですが、環境によっては自ら克服しようとそれに取り組むこともあります。それは理解者や信頼できる人がいて、安心できる環境です。
 そういう環境にいられたら前向きな意欲が出てきて苦手なことも克服しようという気持ちも湧いてくるのです。
 
 

5、特性を受け入れる(理解者になる)


 発達障がい傾向のある子の親、もしくはその子の指導を担当する教師にとって最も基礎的であり大切なことはその子の特性を理解し受け入れることです。
 それはわかりやすく言えば「直そうとしない」ということです。
 その子にもともと備わっているものとして、それがあることを前提にそこに配慮をして指導するということです。
 そのように接することによりお互い無用のストレスは減り、子どもも安心して楽しく心穏やかに学習することが出来ます。
 この子たちにとって自分の良さを見てくれ、苦手なことを理解し配慮してくれる「理解者」は彼らの発達を助ける最高の援助者です。
 
 
 

まとめ


 発達障がい傾向のあるお子さんをお持ちのお父さん、お母さん方のご不安やお悩みはとても深いものです。
 発達障がいは「障害だから治らない」と言われています。
 しかし、私の経験から言えば軽度の発達障がいやグレーゾーンの子どもたちは、発達に凸凹や多少の遅れはあるものの年齢を経るにしたがって少しずつ改善していきますし、普通に手助けなしに社会生活が営めるようになる子も多くいます。
 子どもが成長する一時期、発達障がい傾向というものが表れる子もいますが、それは固定的なものではなく自己成長力を促し、発達を助けることで相当程度改善していくものであると指導していて感じます。
 ただし、その子たちにどう接していくか、どう指導していくかで改善の方向に向かうか、逆に悪化や二次障害(うつ病、不安障害、引きこもり等)の方に向かうかが決まりますので、しっかりと正しい接し方、指導の仕方を知っていただきたいと思います。
 巷には様々な情報が流れており、何が正しくて何が間違いなのかを見極めるのは至難の技ですが、一つの見極め方として「その方法をした時に子どもが安心しているか、喜んでいるか。それとも嫌がっているか。」があります。
 やはり学習は「子どもが楽しんでやる」時に最も効率よく伸びるからです。
 



    < リンク >

 子どもさんの学習の悩み・家庭教師のご相談は
 http://www.hariat.co.jp/ksg/
 
 不登校・発達障害でお悩みなら「見方が変わる相談室」
 https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/2860830

 不登校専門の家庭教師
 http://www.hariat.co.jp/ksg/futoukou.htm

 感動!心が軽くなる!子育て講演については
 http://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/service2/
 
 小学校PTA主催の保護者向け人権講演会で人気テーマ7選
 https://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/2864075/

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専門家

長谷川満(家庭教師)

家庭教師システム学院

発達障がいや不登校の子の意欲を引き出すには自己肯定感を高める必要があります。その子のありのままを受容し、信頼関係を築き、成功体験と褒め言葉で自信と意欲を引き出します。

長谷川満プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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