柳川JCオンライン講演「自己肯定感の高め方」

長谷川満

長谷川満

テーマ:教育・人権講演会

 7月14日(水)は柳川青年会議所の会員様を対象にZOOMにてオンライン講演を行いました。

 テーマは「自己肯定感の高め方」
 


 

「自己受容」「他者受容」が自己肯定感の根底にある


 先日、10年以上前にうちで家庭教師をしてくれていて、今は高校教師になっているA君と小学校教師になっているB君と3人で飲む機会がありました。

 A君はポジティブ思考で自己肯定感も高いタイプです。

 B君は優しくて人に合わすタイプで自分で自己肯定感は低い方だと言います。

 そんなB君に僕はこう言いました。
 「B君、自己肯定感が低いのなら『自分なんかダメだ』と思っている子どもの気持ちもわかるんじゃないの?」

 「それはよくわかります。自分もそんなふうに思うことがよくありますから。」

 「気持ちがわかるのなら、その子たちの心にも寄り添うこともできるんじゃないの?」

 「はい。どんな言葉をかけてあげたらいいとか、今はそっとしておいてあげようとか、なんとなくわかります。」

 「だったら君はそのままでいいよ。いくら前向きになろうとしても、どうしてもそうなれない時がある。そんな時に励ますんじゃなくて『わかるよ。僕も同じだよ。』とその苦しい気持ちをわかってあげることがどれだけその子の救いになることか。子どもがそんな風に苦しんでいるときに『先生も同じやで。』と言うてあげられたらその子を孤独から救えるんと違うかな。」
 そう言うとB君の顔がパーッと明るくなりました。

 自己肯定感というのは、何かに成功した時に高まるものではありません。

 自己肯定感というのは、失敗した時や挫折した時に「こんな自分なのに受け入れてもらえる。愛されている。」そう感じた時にこそ高まるものです。

 自己肯定感とは、自信満々な心ではなくて、「ダメな自分、弱い自分も許し受け入れる。だからこそ人も許せるし、受け入れられる。」そういう「自己受容」「他者受容」の心が根底にあるのだと思います。

 

自己肯定感とは何か


 自己肯定感とは、
 「自分はそのままで愛され、喜ばれ、価値のある人間であるという自分自身に対する信頼感。」
 自己肯定感が前向きに生きる意欲を引き出し、主体的・積極的に物事に取り組む力となります。

 

子どもの自己肯定感の高め方

 


 「自己肯定感を育てる関わり」

1、幸せを受け取る(子どもの存在を喜ぶ)
2、そのままを愛する(変えようとしない)
3、子どもの善さを見る(尊敬する)
4、話を聴く(口を挟まず最後まで)
5、気持ちを理解しようとする(押しつけない)
6、信じて任す(管理者ではなく援助者になる)
7、弱さや欠点を受け入れる(許し合う)

1、幸せを受け取る(子どもの存在を喜ぶ)


 親になりますと子どもに何をしてやれるか、何を身につけさせてやれるかと与えることばかりに目がいきがちですが、本当は子どもが持ってきてくれた愛や喜びや幸せを「受け取る」ことの方が何倍も大切なんじゃないかと思うんです。
 親はね、勘違いしてしまうんです。
 親が子どもを幸せにしてやらないと、て思ってしまうんです。
 でも逆なんですね。
 親が子どもを幸せにするんじゃないんです。
 子どもが親にいっぱい幸せを与えてくれているんですね。
 本当は親は幸せをもらっている側なんですね。
 そしていっぱい幸せをもらったらいいんですね。
 なぜか?
 幸せな親が幸せな子どもを育てるからです。
 「自分は親に喜びを与える存在なんだ。幸せを与える存在なんだ。」
 子どもがそう思えること。
 それが子どもの自己肯定感を育てます。

2、そのままを愛する(変えようとしない)


 そのままを愛するとは、やんちゃな子はやんちゃなこのまま、引っ込み思案な子は引っ込み思案な子のまま、そのままを愛するということです。
 一言で言えば「子どもを変えようとしない」ということです。
 そのままを愛するとは結婚式の「愛の誓い」、あれですね。
 「健やかなる時も病める時も、富める時も貧しき時も、喜びの時も悲しみの時も、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命のある限り真心を込めて尽くすことを誓いますか。」
 こうして永遠の愛を誓うわけですが、この世に永遠の愛なんてあるのでしょうか。
 あります。
 親が子に持つ愛は一生変わりません。
 だったら親も子どもが生まれた時にこう誓って見たらどうでしょう。
 「健やかなる時も病める時も、いい子の時も悪い子の時も、言うこと聞くときも言うこと聞かへん時も、この子を愛し、この子を敬い、この子を慰め、この子を助け、時期が来たら放してやり、その命のある限り真心を込めて育てることを誓いますか。」
 その無条件の愛が子どもの意欲、向上心、生きる力を育てます。
 「そのままの自分で愛されている。」
 そう思えることがどんなに幸せで、どんなに嬉しく、どんなに自信がつくことでしょう。
 それが今の、そして未来の子どもの心を支えます。
 
 「そのままのあなたが大好き」
 これは親が子どもに贈ることが出来るプレゼントの中でも最高のプレゼントです。
 これこそが自己肯定感を育てる言葉です。

 *時間の都合上、3番以下の項目についてはカットしました。
 
 

大人の自己肯定感の高め方



 
大人の自己肯定感を高める10の方法

1、自分に対する要求水準をうんと下げる
2、我慢グセをやめる
3、支配的で口出しの多い親や友人と距離を置く
4、時には好き嫌いで物事を決めてみる
5、やりたいことは思い切ってやってみる
6、人と比べず、ありのままの自分を生きる
7、悪かった原因ではなく良くする方法を考える
8、人からほめられよう、認められようとしない
9、自分の素直な気持ちをそのまま伝える
10、子どものことは子どもに任せる

1、自分に対する要求水準をうんと下げる


 自分への要求水準が高いと常に自分にマイナス評価をしなければなりません。
 例えば完璧主義で仕事も家事も子育ても常に100点を求めていれば、自分にダメ出しばかりを出してしまうことになります。
 逆に何事も50点くらいでいい。
 70点できれば上出来。30点マイナスがあるくらいがちょうどいい。
 と考えるなら、自分を褒めることも、満足することも出来ます。
 私から見て芸能人の中で最も自己肯定感が高いと思われる明石家さんまさん。
 さんまさんって落ち込まない人らしいんです。
 そのさんまさんがこんなことを言われています。
「俺は絶対落ち込まないのよ。落ち込む人っていうのは自分のこと過大評価しすぎやねん。過大評価してるから上手くいかなくて落ち込むのよ。人間なんて今日出来たこと、やったことが全てやねん。」
 実は自己肯定感の低い人ほど自分のことを過大評価する傾向があるんです。
 自分に完璧を求めるってことは「完璧に出来て当たり前」という自分に対する過大評価があるからなんですね。そんな完璧に出来る人間なんていません。
 なぜ、そんな非現実的な要求を自分に課すのか。
 「ダメなところがあってもいい。弱いところがあってもいい」と自己肯定ができていないから、ありのままの自分を見たくないのです。
 「上手くできない時があってもいい。」とダメな自分、弱い自分も許してあげて、自分に対する要求水準を下げることが自己肯定感を高める第一歩です。

2、我慢グセをやめる


 人間の心理として、自分に我慢を強いる相手のことは嫌いになる傾向があります。
 だから、厳しい上司や口うるさい親や姑が嫌いになるのは人間心理として当然なわけです。
 また、自分に我慢を強いる人も嫌いだけれども、我慢させられる自分も嫌いになる傾向があります。
 だから我慢グセのある人はだいたい自分も人もあまり好きではありません。

 実はこの「我慢」、仏教用語で「自分を高く、相手を低く見る」慢心の一つなんです。
 我慢は驕りの気持ち、慢心であって決していいことではないんです。
 どうしてかと言いますと、
 「自分が我慢してやっている」という意識には、「相手が自分のダメな所や欠点を我慢してくれている」という意識がすっぽり抜け落ちているからです。
 自分は我慢しているつもりでも本当は周りの人が自分のわがままや気まぐれやその他色々なことを我慢してくれているのです。本当は自分は我慢している方ではなくて我慢してもらっている方なんですね。そこに気づけないのは「自分が我慢している」意識が強いからなんです。
 だから、「自分が我慢している」という思いから自分の心を解放することが自己肯定感を高めるためには必要なんですね。

 

3、支配的で口出しの多い親や友人と距離を置く


 「こうすべきだ」「こうした方が良い」とその人の価値観ばかりを押し付け、こちらの気持ちを尊重してくれない人とは距離を置く方がいいです。そんな人といては自己肯定感は低くなるばかりです。
 
 

4、時には好き嫌いで物事を決めてみる


 自己肯定感の低い人っていうのは自分の判断に自信が持てない人が多いんです。
 だから人に聞いたり相談して「それでいいと思うよ」と言ってもらわないと不安なんですね。
 つまり物事を決めるときに他者から見てどうかという「他人軸」「世間軸」で物事を判断したり、決めたりする傾向が強いんです。
 自己肯定感の高い人は「自分軸」で物事を決めることができるんです。
 
 他人軸(世間軸)

 ・みんなどうしているか。
 ・どちらが正しいか。
 ・どちらが得か。

 外部からの情報。

 自分軸

 ・どちらが好きか。
 ・どちらが幸せか。
 ・どちらが楽しいか
 
 内面(心)の声。

 
 どちらが好きか、という自分軸で決めると100%自分の意思で決めたことになります。
 この積み重ねで自分の心で物事を決められるようになります。

 人間の幸福感に影響を与える5つの要素のうち「自己決定」は3番目に重要だとされています。
 1位は「健康」、2位は「人間関係」、3位は「自己決定」、4位は「年収」、5位は「学歴」です。
 人がどう思うかではなしに、自分はどうしたいかで決めること。
 自分の素直な心、ありのままの心で生きることは自己肯定感を高める上でも幸福に生きる上でも大切だということです。

 *以下、8番目の項目までお話ししました。(講演時間:約55分)



 今回、初めてのオンライン講演でした。
 オンラインだと遠方であっても交通費も宿泊費もかかりませんし、予算的にお安く講演をお引き受け出来ます。
 また、オンライン講演をご希望の団体様があればお気軽にお問い合わせください。




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長谷川満(家庭教師)

家庭教師システム学院

発達障がいや不登校の子の意欲を引き出すには自己肯定感を高める必要があります。その子のありのままを受容し、信頼関係を築き、成功体験と褒め言葉で自信と意欲を引き出します。

長谷川満プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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