第44回ペアレントセミナー「アドラー心理学の子育てについて考える」 ありがとう<前編>
前編から読みたい方は⇨http://hasegawa-mitsuru.seesaa.net/article/440007922.html
僕はこのペアレントセミナーで皆さんに何を考えてもらいたいのか。
それは子どもの育て方や接し方じゃないんです。
もちろんそんな話もしますよ。
でも、僕が皆さんにここで一度ゆっくり見つめ直してほしいのは、そういうテクニックや方法論ではなくて、親のあり方であり、自分のあり方なんです。自分の子育てと言ってもいいでしょう。
子どもをどうするのかではなくて、親である自分はどうあろうとするのか、自分はどうありたいのか、子どもとどんな親子関係を築いていきたいのか、それを皆さんに考えてもらいたいんです。
今日はそのための教材を持って参りました。
映画「異人たちとの夏」。1988年の作品です。
主人公は40歳の人気シナリオライター。
妻子と離婚し、今はマンションで一人暮らし。
忙しく華やかな暮らしの中にも時々空しさを感じるときがあります。
ある日、彼は死んだはずの父親と母親に出会います。
(彼の両親は彼が12歳のときに交通事故で亡くなっています)
言われるままについていくと・・
そこは30年前の東京の下町のようなところ。
夢か現実か、
懐かしいような幻想的な場所で
彼は両親とあたたかく心安らぐ時間を過ごします。
彼はその後、頻繁に死んだ両親に会いにいきますが、
どんどん衰弱していきます。
彼のそんな様子を心配した恋人の忠告を聞いて彼は両親と会うのをやめることを決意します。
そしてそれを伝えに両親のもとに行きます。
その場面が秀逸なのです。
最後に親子3人で浅草ですき焼きを食べようということになり、その店での会話。
お父さんが
「12歳で両親を亡くして、苦労して・・、
よくやったよ、よくやった。
今じゃ、俺たちにいくらでも肉を食えと言ってる。
大したもんだ。」
お母さんも
「お前のことを大事に思ってるよ。」
すると主人公は涙ぐんでこう言います。
「僕なんて、ろくな仕事してこなかったし、目先の競争心だけで・・、
いい亭主でもなかったし、いい父親でもなかった。
お父さんお母さんの方がどんなに立派かしれない。
驚いたよ。
あったかくて。
こんな親にならなくっちゃって思った。
僕なんて今は親孝行づらしてるけど、お父さんお母さんが生きてたら親孝行してたかどうかわからないし・・」
沈黙ののち父親が
「もう何にも言うな。てめえでてめえのこといじめるこたあねえ。
自分で自分のこと大切にしなきゃ、誰が大切にしてくれんだよ。」
母親が続けてこう言います。
「お前をね、自慢に思っているよ。」
父親も
「そうとも。」
そして、お父さんもお母さんも影が薄くなって、
「どうやらダメらしいや。」
「体を大事にね。」
主人公は「もう行っちゃうの」と、子どものように涙を流しながらこう言います。
「ありがとう。
どうもありがとう・・。
ありがとうございました。」
その言葉を聞きながら両親は消えていきます。
その両親ていうのが、がらっパチで息子と花札をいっしょにしようと言い出すようなお世辞にも模範的な親とは言えないお父さんとお母さんなんだですけれど、人間らしくてあたたかいんですね。二人とも欠点丸出しだけれども、だからこそ生きている(本当は死んでいる)お父さん、お母さんらしくて、主人公にとってはそんな両親と暮らす時間はかけがえのない時間なのです。
そして、息子のことはとても大切に思っていて、そして息子の善さや素晴らしさもよ~くわかってくれているんです。だから最後の別れに際して「よくやった」「自慢に思っているよ」という言葉になったんですね。
その言葉を聞いたとき主人公は本当の意味で自分の至らなさや傲慢さを自覚し、反省します。本当に反省する時というのは、自分のことを心から受け入れられた時なんですね。そしてそんなふうに自分を受け入れてくれる両親だからこそ感謝と敬意を感じるのです。それが最後の「ありがとうございました」という丁寧な言葉に表れています。
僕がよく言う『無為の子育て』。
「いい親になろうとせず、いい子に育てようとせず、ありのままの自分でありのままの子どもを愛し育てていきましょう。それが一番楽で、一番幸せで、一番子供が伸びる子育てです。」というのはまさにこういうことです。
ところで皆さん、
お子さんに点数をつけるとしたら何点をつけますか?
頭の中でつけてみてください。
今、お子さんにつけた点数があなたの母親としての点数です。
80点とか90点とか、せこい点数はつけない。
子どもに点数をつけるときはアレがどう、コレはどうなんてチマチマしたことは考えない。
元気やったら100点。
子どもに100点つけた時、あなたは自分にも100点をつけられたんです。
あなたも子どももそのままでいい。
あなたのままで100点満点です。
最後はあいのりのテーマソング「明日への扉」にのせてお一人お一人にそれぞれ違う詩をプレゼントしました。
ある女性にはこの詩がいきました。
詩 「親の道 子の道」
間違わずに育てられる親はいません
間違わずに大きくなる子はいません
それがあなたの道だったのだし
それが子どもの道だったのです
今 こうして
許し合い 笑い合えるなら
それは
その道でよかったのです
by はせがわみつる
大変心に響いたと喜んで下さいました。
今回参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました。
また皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。
次回ペアレントセミナーは10月の第4週か第5週の日曜日を予定しています。
また決まりましたらこのブログで発表します。
今回のセミナーに参加してくださった方がブログに感想を書いてくださっています。
ぜひご覧下さい。
こちらです⇨http://ameblo.jp/frauyoko-monaka/entry-12179207127.html
< リンク >
講演紹介動画「笑って感動して心が軽くなる講演」
https://www.youtube.com/watch?v=IJgivKVQttk
講演紹介動画「いのちの大切さを子どもたちにどう伝えるか」
https://www.youtube.com/watch?v=2WVpUz5AnPc
子どもさんの学習の悩み・家庭教師のご相談は
http://www.hariat.co.jp/ksg/
不登校でお悩みなら
http://www.hariat.co.jp/ksg/futoukou.htm
親も子も幸せに成長していくヒントがいっぱい!
ブログ「長谷川満の親学講座」
http://hasegawa-mitsuru.seesaa.net/
気づきがいっぱい!子育てコラム「あなたのままで100点満点」
http://www.koushinococoro.com/magazine/kyouiku/hasegawa_100/
感動!心が軽くなる!子育て講演については
http://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/service2/