第35回ペアレントセミナー『心理学がわかれば子育てがわかる』 ありがとう<中編>

長谷川満

長谷川満

テーマ:教育・人権講演会


 (最初から読まれたい方は<前編>から→http://hasegawa-mitsuru.seesaa.net/article/393967860.html


 信じて待つ子育てとは、何を信じる子育てなのか。
 それは子どもに宿る「自己成長力」を信じる子育てです。
 自己成長力とは、人間に内在する自ら成長、発達、進歩、向上していこうとする力のことです。
 この言葉を初めて心理学用語として使ったのが、カウンセリングを創始したカール・ロジャーズです。


 

 彼はもともと問題児の更生施設に勤めていました。
 そこで、子どもたちの診断や更正プログラムに携わっていたのですが、非常に再犯率が高く、更正プログロムのあり方に疑問を持っていました。
 これは原点に帰って、問題行動を起こす子どもの心を理解するところから始めなくてはならない。
 そう感じたロジャーズは、問題を起こした子どもたちの話を一切批判することなく聴くことに徹しました。良い悪いの価値判断を交えずに、ただただ子どもたちの気持ちを理解しようとして聴くようにしました。
 そうして子どもたちの話を聴くことを始めてからしばらくすると、ロジャーズが担当した子どもたちの再犯率が劇的に減っていったのです。
 
 この経験からロジャーズは「人間はたとえ悪い方向、好ましくない方向にいても自らの力で軌道修正し、良い方向に向かうようになる力、自己成長力を持っている」という確信を得ました。
 そして、カウンセラーがするのは、問題を抱えた人が安心して自分を見つめられるようになる関係、その人がありのままの自分自身を受け入れられるようになる、あたたかい関係を提供することだと考えました。
 
 ロジャーズがカウンセラーに求めた条件は次の3つでした。
 1、ありのままの自分でいること。
 2、そのままの相手を受容すること。
 3、共感的に理解すること。

 そして、それらは心や行動に問題を抱えた人の援助だけでなく、健全な人たちや子どもたちの自己成長力を引き出し、自己実現を助ける上でも大変有効であると考えられています。

 では、親にとって子どもの自己成長力を引き出す3条件とはどのようになるのでしょうか。

 1、ありのままの自分で子どもに接する。
  立派なことや親クサイことばかり言わない。気持ちそのままの言葉、気持ちそのままの態度、嘘のない姿で子どもに接する。本心で接することは子どもに対して誠実に向き合うことです。嘘がないからこそ心から信頼し合うことが出来るのです。

 2、ありのままの子どもを受け入れる、愛する。
  いい子の時も悪い子の時も、言うこと聞く時も、言うこと聞かない時も、あなたのことが大好きということです。どんなときもどんなあなたも愛しているということです。
 「いい子のあなたは大好きだけれど、そうじゃないあなたは嫌い」という態度で接すれば、子どもはありのままではいられません。そうなると、あなたの前では安心出来ないということになってしまいます。子どもが安心して心を開けないならば、そこに真の信頼関係は築けません。

 3、子どもの気持ちをわかってあげる。
  自分の良い悪いの価値判断で子どもを裁かず、その子の思いを理解しようとして聴くこと。それは何も子どもの要求をすべて受け入れることではありません。気持ちはわかるけど、今はそうしてあげられないということは当然あります。
 子どもは自分の思いを聞いてもらえた、気持ちをわかってもらえたと感じたなら、親の思いも素直に聞いてくれるようになります。


 今日は「子どもの自己成長力を引き出す3条件」とはいかなるものかを実際に体験してもらうためにグループワークを行います。

 <下の言葉からあなたが大切だと思うものベスト3を選んで下さい>

 1位       2位       3位

 健康、愛、家族、自由、自己実現、思いやり、努力、
 お金、楽しさ、正しさ、正直、夢、感謝、友人、信頼


 次に8~10人のグループに分かれてお互いの選んだものを見せ合い、
 グループとしての順位をみんなで話し合い決めてもらいました。


 グループで話し合う前に次の注意事項のプリントを配り、読み上げました。

      < グループで話し合う前に >

1、自分の意見や考え、気持ちは率直に言うようにして下さい。

2、和気あいあいと和やかに話し合って下さい。

3、話していない人がいれば話を聴いてあげて下さい。

4、人が話している時には真摯に耳を傾けて下さい。いい悪い、好き嫌いの評価はせず、理解しようとして聴いて下さい。

5、論争はしないで下さい。論争は不毛です。

6、安易に妥協しないで下さい。調和することが目的ではありません。

7、お互いの意見を持ち寄って、自分の気づいていない点に気づいたりしながら、自分がつけた最初の順位よりもさらに良いと思えるものを作りあげるように心がけて下さい。

8、グループを仕切らないで下さい。あなたの思うグループにしようとしないで下さい。

9、これは自己開示と傾聴を体験する場です。心を開いてグループの人たちと交流して下さい。

10、自分に完全を求めないで下さい。うまく伝えられなくてもいいし、うまく聴けなくてもかまいません。今のそのままのあなたを正直に表して下さい。これは失敗の許される場です。リラックスして話し、聴いて下さい。



 後編はコチラ→http://hasegawa-mitsuru.seesaa.net/article/394228161.html



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長谷川満
専門家

長谷川満(家庭教師)

家庭教師システム学院

発達障がいや不登校の子の意欲を引き出すには自己肯定感を高める必要があります。その子のありのままを受容し、信頼関係を築き、成功体験と褒め言葉で自信と意欲を引き出します。

長谷川満プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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