大阪府堺市あおい幼稚園での講演会「子どもの意欲を引き出すプラスの問いかけ」

長谷川満

長谷川満

テーマ:教育・人権講演会

 今日は大阪の堺市にあります「あおい幼稚園」に講演にやってきました。
 とても大きくて(園児数は490名)、素敵な幼稚園でした。
 今日は父親参観日でそのあとの講演会でした。
 タイトルは「子どもの意欲を引き出すプラスの問いかけ」。



 なんと立ち見が出るほど多くの方が参加して下さいました。
 しかもお父さんの参加率が高いです。


 どんなお話をしたかと言いますと・・

 まずはこんな実例からお話ししました。

 これは4年ほど前のことなんですが、中3の教え子が「数学のテスト、80点取れる時もあったら、50点くらいしか取れへん時もあります。やっぱり僕には実力がないんでしょうか。」と少し自信を失いかけたように訊いてきましたので、僕はこんな問いかけをしてみました。

 「◯◯君、ここに走り高跳びの選手がいるとするで。その選手は1m80跳べる時もあれば、1m50しか跳べない時もあります。さて、この選手は何メートル跳べるでしょう?」

 彼は少し考えてから「1m80」と答えました。
 「正解!1m80跳べた時があるなら、1m80は跳べるようになるよね。君も50点だったり、80点だったりするなら、絶対80点は取れる実力あると思うよ。
 80点取れた時はすごく勉強した?」
 「それほどしてません。」
 「だったら、勉強したら80点以上取れるようになるわ。それだけ力があるんやから、もうちょっとがんばってみよか。」

 彼はその日からいっそう意欲的に勉強に取り組むようになりました。
 
 子どもに自信をつけてやりたい、意欲を引き出したいと思った時は、一方的にお説教したり、「自信を持て」なんて言ったって伝わりません。
 このように問いかけて、それに子どもが答えていく中で子ども自身が気づいていくようにするとこちらの思いも伝わりますし、子どもの行動も変わってきます。
 でも、問いかけにもプラスの問いかけとマイナスの問いかけがありまして、
 では資料の方をご覧下さい。



 プラスの問いかけは子どもの考える力や主体性、意欲、能力を引き出します。
 マイナスの問いかけは子どものやる気をなくさせ、関係を悪くします。

    <子どもに対するプラスの問いかけ>

・ どうしたらいいと思う?
・ どうしたら出来るかな?
・ どうしたい?
・ どうして欲しい?
・ 何か手伝えることある?
・ それのいい所ってどこかな?
・ 違う見方できないかな?
・ 相手の立場に立ったらどう見える?
・ 何から始める?
・ どうしたら楽しく出来るかな?
・ 今すぐ出来ることって何かな?
・ どうしたの?何かあった?
・ どうしてかな?

    <子どもに対するマイナスの問いかけ>

・ なんで~するの?
・ なんで~しないの?
・ なんで~したの?
・ なんで怒られるようなことするの?
・ 何をしなければいけないの?
・ どこを直さないといけないの?
・ ちゃんとしたの? わかってるの?
・ 何がいけないの?
・ 誰が悪いの?

 プラスの問いかけは子どもの考えや気持ちを聞こうとするもので、このように問いかけられると子どもは、自分は大切にされている、認められている、愛されていると感じます。このように感じるとき、子どもは自らの内に宿る『自己成長力』を発揮し、主体的・意欲的に物事に取り組んでいくようになります。




 マイナスの問いかけは「なんで~?」とか「どこを直さなければならないの?」とか「誰が悪いの?」といった悪かった原因や犯人探しをするもので、主にうまくいかなかった原因を過去に求めるものですね。
 つまり過去への問いかけです。
 しかもうまくいかなかった過去をほじくり返す問いかけですから、やる気もでませんし関係も悪くなります。
 
 それに対してプラスの問いかけは「どうしたらいいと思う?」「どうしたら出来るかな?」「何から始める?」「今すぐ出来ることって何かな?」と未来に向けての問いかけなんですね。
 この先、どうしたらうまくいくだろうか、という問いかけですから前向きで建設的なんですね。
 
 また、マイナスの問いかけは義務を押しつけるようなところがあって「何をしなければならないの?」「どこを直さないといけないの?」と無言の圧力がかけられているような感じなんですが、一方プラスの問いかけは「どうしたい?」「どうしてほしい?」「何か手伝えることある?」と子どもの気持ちや希望を聞こうとしているんですね。そこに義務感ではない子どもの「こうしたい」という意欲も生まれて来ます。


 

 今日のテーマは「子どもの意欲を引き出すプラスの問いかけ」なんですが、一つ注意して頂きたいのは親子の関係が何かこう「意欲のある積極的な子に変えよう」として、いわゆるテクニックみたいなもので関わろうとすることには僕はあまり賛成ではないんです。
 「子どもを変えよう」とすること自体、僕はいいことだとは思っていません。

 子どもはもともと生き生きしていて意欲的です。
 大切なのは、その子が本来持っている生き生きした意欲、前向きな意欲が存分に発揮できる環境を整えるということです。子どもにとっての最大の環境とは「親」です。
 そういう意味では親である自分自身のあり方を皆さんと一緒に考えて参りたいと思います。
 親としてどうあるべきかではありません。
 そんな親の教科書みたいなものはありません。
 そうではなくて「自分は親としてどうありたいのか?」
 「自分は子どもとどんな親子関係を築いていきたいのか?」
 それを今から皆さんと一緒に考えて参りたいと思います。

 そうお話しして「親学10か条」の資料をもとに「自分はどうありたいのか」を考えてもらいました。

 講演の終わりにキロロの「未来へ」の曲にのせて、お一人お一人にそれぞれ違った詩をプレゼントしました。

 講演会に参加して下さった皆さん、本当にありがとうございました。
 またお会い出来る日を楽しみにしております。





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長谷川満
専門家

長谷川満(家庭教師)

家庭教師システム学院

発達障がいや不登校の子の意欲を引き出すには自己肯定感を高める必要があります。その子のありのままを受容し、信頼関係を築き、成功体験と褒め言葉で自信と意欲を引き出します。

長谷川満プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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