兵庫県加古川市立平荘小学校での講演会

長谷川満

長谷川満

テーマ:教育・人権講演会

 今日は午前中、加古川市立平荘小学校で講演会がありました。
 小学校と幼稚園の保護者の方を対象にお話ししました。
 タイトルは『親も子もありのままで ~無為の子育て~』です。
 最初に子どもの詩を紹介しました。



 
 「 見つめてもらって 」
             黒沢尻北小学校3年生 岩崎裕也

 「ゆうやはこのくらいでも痛がるんだぜ。」
 同じ組の子が たたいた
 そしたら 周りの子も
 ニヤニヤしながら
 ぼくを たたいた
 おもしろがって
 何人もの子が たたいた
 
 家に帰って
 お母さんが
 「今日は 何があったの」
 と いつものように 聞いた
 ぼくは 心配をかけたくなくて
 だまって 聞こえないふりをした
 二人ともだまっていた

 ふと顔をあげると
 お母さんは
 ぼくの顔を
 じいっと見ていた。

 ぼくは わらって 言った
 「ちょっとね、学校でたたかれた」
 お母さんは 体のどこかに
 大きなきずができたみたいな
 くるしそうな顔をした
 それから
 やさしい目になって だまって
 ぼくを見つめてくれた
 ぼくの目から なみだが出た

 ぼくは ぼくをたたいた子に
 思いきって 自分の気持ちを ぶつけた
 それからは もう やられなくなった

 お母さん ぼく 自分を守ったよ
 お母さんが 大切に育ててくれている
 自分を
 これからも 大切にする


 自分を大切に思う気持ちって、こういうところから生まれてくるんだと思います。
「大好きなお母さんが、大切にしてくれている自分。そんな自分は大切な存在なんだ。」
 そう思えることが、勇気や自信や自己肯定感につながっていくのだと思います。
 今、いじめが問題になっていますが、「お母さんが大切に育ててくれている自分。だから僕はたたかれたり、いじめられたりしていいはずなんかない。僕は自分を守る。」
 そう思えたら子どもは一人ではありません。
 心の中にはいつもお母さんがいます。
 僕は一人じゃない。
 そう思えるから立ち向かえる勇気も生まれるのだと思います。

 6年ほど前、公共広告機構のCMで
 「命は大切だ。命を大切に。そんなこと何千何万回言われるより『あなたが大切だ』。
 誰かがそう言ってくれたら、それだけで生きていける。」
 というのがありましたが、
 今、子どもたちにとって一番必要なメッセージって「あなたが大切」で、それを本当に心から言えるのは親なんだと思います。そしてその気持ちをちゃんと伝えていくこと。それが大切なことであるように思います。



 今日は『親も子もありのままで ~無為の子育て~』というテーマでお話しするのですが、どういう子育てかと言いますと、「いい親になろうとせず、いい子に育てようとせず、ありのままの自分でありのままの子どもを愛し、育てていきましょう」というものです。無為とは、「自然に、自然体で」というような意味です。

 子育ては水泳と似ています。
 力が入り過ぎると体が沈んでしまってうまく泳げません。
 まずは力を抜いて体が浮くようにするのが大切です。
 子育ても一緒です。
 「いい子にしよう」「いい親でなければ」と力が入ると、かえってうまくいきません。
 ま、いっかー、と力を抜いて大らかに育てていく方がうまくいくんですね。



 ここで皆さんに質問です。
 「ここに一人のお母さんがおられます。このたび、一人息子さんが結婚されることになりました。そして同居することになりました。このお母さんはお嫁さんに『いいお嫁さんになってほしい』と望まれています。
 さて、どうすればいいお嫁さんになってもらえるでしょうか?」

 そんな いいお嫁さんになってもらう方法なんてあるのでしょうか。
 
 あります。 

 来てくれたお嫁さんにこう言うんです。
 「◯◯ちゃん、本当にこの家に来てくれてありがとう。
 ◯◯ちゃんがこの家に来てくれた、それだけで嬉しい。
 ◯◯ちゃんは◯◯ちゃんのままでいいからね。
 この家が◯◯ちゃんの家だと思って、のんびりしてくれたらいいからね。」
 そう言ってお嫁さんに対して、何も求めず、何も望まず、いてくれることを喜び、お嫁さんの悪いところは見ないで、いいところだけを見て感謝して暮らす。
 そうすれば、そのお嫁さんは必ずいいお嫁さんになります。
 お嫁さんに問題があるように見えるのは、何もお嫁さんが悪いのではありません。
 お姑さんのありようや、ものの考え方、接し方が良ければお嫁さんは善くなるんです。

 子育てもおなじです。

 子どもに問題があるように見えるのは、何も子どもが悪いのではありません。
 親のありようや、ものの考え方、接し方が良ければ子どもは善くなります。

 子どもに多くを求めず、いてくれることを喜び、いてくれることに感謝して、悪いところではなくいいところを見て育てていけば、自然にいい子に育ちます。

 つまり、子育てというのは「子どもをどう育てるのか」が大切なのではなく、「親の自分がどうあろうとするのか」ということが大切なんですね。だから、子育ては自分育てなんです。



 そのあと、『ありのままを愛する』ことについてお話ししました。
 ありのままを愛するとは、弱い子であれば、弱いままのその子を愛するということです。
 強い子にしようとしない。
 子どもを変えようとしないということです。
 「そのままでいいよ。そのままのあなたが大好き。」
 その言葉こそ子どもを変える魔法の言葉なのです。
 「あなたはあなたのままでいい」
 「そのままでいい」その言葉が子どもを善くしていくのです。
 「そのままでいい」て英語でなんて言うかご存知ですか。
 「 Let it be 」って言います。

 そしてビートルズの名曲「 Let it be 」を訳詞を見ながら聞いてもらいました。

 最後に小田和正さんの「たしかなこと」という曲にのせて、お一人お一人それぞれに違った詩をプレゼントしました。
 詩を手渡ししていたとき、すごくあたたかい雰囲気で迎えて下さって嬉しかったです。






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長谷川満
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長谷川満(家庭教師)

家庭教師システム学院

発達障がいや不登校の子の意欲を引き出すには自己肯定感を高める必要があります。その子のありのままを受容し、信頼関係を築き、成功体験と褒め言葉で自信と意欲を引き出します。

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