子どもという『自然』とどうつき合うか

長谷川満

長谷川満

 


「大空を売ることができないように、どうして大地を売ることができよう。大地はわたしたちのものではなく、わたしたちが大地のものなのに。...」

 これは、あるネイティブアメリカンの酋長が、当時のアメリカ大統領から土地を売ってほしい、ともちかけられた時に語った言葉です。

 彼らにとって、空や大地や木は、みな崇高な魂をもった兄弟であり友人でした。それらは尊敬と感謝の気持ちをもって付き合う対象でした。このような考え方をしていれば、今日のような環境問題も起こらなかったことでしょう。彼らは自然に対して、とても謙虚でした。

 今、私たちは山や川や海といった自然だけではなく、大人の思い通りにはならない「子ども」という自然、子どもらしさという自然に対して謙虚になる必要があるのではないでしょうか。

 子どもは将来役に立つことよりも今楽しいことを選びます。おもしろいことが大好きで、強制されることは嫌いです。好きなことであれば何時間でも集中してやりますが、嫌いなことは少しの時間も集中しません。それらは自然なことであり、非難されることではなく当たり前のことなのです。

 管理や強制をするのではなく、子ども本来の性質を理解し、一人一人の善さを見て尊敬と感謝の気持ちで付き合うなら、子どもたちもまた、私たちに対して尊敬と感謝を示してくれることでしょう。

 それは子どもとの美しい関係を取り戻すことであり、そして自分の心の中に「感動する心」や「共感する心」、「自然や他者を尊ぶ謙虚な心」を取り戻すことにも通じているように思います。ひいては自然との美しい関係を取り戻すことにも。

 「子どもや自然を尊重し、謙虚であろうとする心」それが環境問題や教育問題を考える時に一番大切なことであるように思います。

 もし、あの時のネイテイブアメリカンの酋長が、今の日本の大人たちを見たら、きっとこう言うでしょう。

 「風や雲を思い通りにできないように、どうして子どもを思い通りにできよう。子どもは私たちのものではなく、子どもは子ども自身のものであり、私たちの方が喜びをもらったり、教えてもらってる方なのに。...」

 私たちも自然や子どもに対して謙虚でありたいものです。




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長谷川満(家庭教師)

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