親学10か条 その5、子どもの思い、ペース、自由を大切にする

長谷川満

長谷川満

テーマ:親学10か条


 人間は誰しも愛する対象については「自分だけのものにしたい」という独占欲を持っています。これは別に悪いわけではなく、当然のことです。でも、相手が自分と同じ人間であれば「自分だけのもの」にするわけにはいきません。相手には相手の考えや思いがあり、自由意志を持った存在なのですから、自分の思うようにはなりません。
 恋人同士だと、それが焼きもちとなったり、束縛となったりするわけです。
 
 ところで、親も子どもを愛していますので、当然、独占欲はあるわけです。
 普通、1、2歳までは母親が子どもを独占出来てしまうので意識しませんが、子どもの自我が生まれ始める3歳頃になるとこの「独占欲」が「支配欲」に変わります。
 独占欲というのは、相手を自分のものにしたい、つまり自分の管理下において自分の思うようにしたい、というのが独占欲なのですが、この「自分の管理下において自分の思うようにしたい」心とは、結局、支配欲なわけです。

 この「子どもを自分の思うようにしたい」支配欲は、親であれば誰しもが持っています。

 大切なのは、支配欲をなくすように努力することではなく(なくすことは出来ません)、自分にも子どもを支配したい気持ちがあることを自覚して、子どもを自分の思い通りに育てようとしないことです。
 
 それは自分の思い優先ではなく、子どもの思いを大切にするということです。
 そうすることで、子どもは自分は大切にされていると親を信頼するようになります。自分は愛される値打ちのある大切な存在なんだという自信を持ちます。

 それはまた、子どものペースを大切にするということでもあります。
 子どもを尊重するということは、子どものペースを尊重するということで、「早くしなさい」は命令であり、問答無用で命令される子どもは尊重されているとはいえません。急がなければならない時は、「何時には家を出なければならないから、そのように協力してくれる」と頼めばいいのです。意外と子どもは途中までグズグズしていても最後には帳尻合わすものですから、途中のグズグズのところで怒らないように気をつけましょう。
 子どもを尊重するということは、「あなたは尊重するに値する素晴らしい存在ですよ」ということを態度で示していることになります。

 そして子どもを尊重するということは、子どもを信頼しているということです。
 子どもを信頼しているからこそ、子どもの自由を認めます。
 子どもの自由を認め、子どもの自由を大切にする、それは「あなたを信じている」という証しです。
 親と子の信頼関係は、そのようにして出来ていきます。

 英語で「尊重する」はrespect(リスペクト)と言います。それは「尊敬」も意味していて、結局、相手を尊重すると言うことは、相手を尊敬しているということで、夫婦であれ親子であれ、尊敬し合う心が大切なんだと思います。

 いい関係というのは、気楽で楽しいけれど、どこかで相手を尊敬し合っているものだと思います。




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長谷川満(家庭教師)

家庭教師システム学院

発達障がいや不登校の子の意欲を引き出すには自己肯定感を高める必要があります。その子のありのままを受容し、信頼関係を築き、成功体験と褒め言葉で自信と意欲を引き出します。

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