納骨室に水が入らない特許構造の墓石/本当に良いお墓を提供するためには?(10・最終話)
(1)安心できる中国産墓石
(2)正真正銘の国産墓石
(3)自社加工の墓石と産地加工の墓石
~上記のコラムからの続きです~
「才(さい)」「才単価」とは?
前回までのコラムで、「国産墓石」として売られているものには、
国内加工の墓石と中国加工の墓石があることをご説明いたしました。
そして、国産墓石の大半が中国で加工されたものであるにも関わらず、
中国で加工された事実を隠して販売されているのが現実です。
では、なぜここまで中国加工の国産墓石が流通するのかというと、
やはり、それは国内加工の国産墓石と比べて値段の安さからです。
では、国内加工の国産墓石と中国加工の国産墓石とでは、
いったい、どのくらいの値段の差があるのでしょうか?
その前に、先ずは「才単価」について説明の必要があります。
「才単価(さいたんか)」?
一般消費者には聞き慣れない言葉でしょう。
この才単価とは、石材店が国内加工、中国加工に限らず、
墓石製品を取り引きする際の基本単価(石の量)のことなのです。
お肉を買う時の「100gいくら」みたいなものですが、
墓石の取り引きに使用する単位は「才」なのです。
小売石材店も、この「才」を基本に売価を算出するのです。
お肉は「100g○○円」が基準ですが、墓石は「1才△△円」なのです。
▲「日本の銘石 産地ガイド」(株式会社インデックス刊)より引用
この「1才」とは、1尺立法(1尺×1尺×1尺)の石の量です。
1尺=30.3㎝ですので、一辺が約30㎝のサイコロ状態です。
1才の原石を「決められた基準の形の墓石」に加工し、
石材店との取引に使用される単価を「才単価」と言います。
これは、産地加工工場が石材商社や石材店に墓石を卸す際や、
石材商社が中国加工の墓石を卸売りする際に主に使う単価であって、
自社加工の石材店が小売りをする際には異なるかも知れません。
この、才単価の範囲で出来る加工は比較的簡単な加工に限られ、
さらには、同じ国内加工でも地域によっても異なりますし、
中国の石材加工工場ならば、よほどの難しい加工でない限り、
才単価の範囲、もしくは若干の別途加工賃で済む場合が大半です。
才単価の範囲でどこまでの国内加工が出来るのか?
才単価の範囲でどこまでの加工が出来るのかと言えば、
ズバリ言いますと、ごくごくシンプルな形に限ります。
上の図にあるような、いわゆる和型3段墓です。
それも、各部材に何も装飾等がないものに限ります。
洋墓の場合でも、ごくシンプルなオルガン型なら可能かも?
デザイン墓石などは論外です。
おそらく、中国加工の倍くらいの値段の覚悟が必要です。
つまり、直線を主体とした四角い形の墓石が基本となり、
曲線やアール加工や笠付き香炉などの装飾品が無いものです。
要は、加工に手間と時間を要する形の部材については、
才単価の範囲では出来ず、すべてに別加工賃が掛かるのです。
また、同じ国内加工でも地域により才単価内での加工範囲が異なり、
関西を含む西日本は才単価内での加工範囲が広いと言われています。
西日本の墓石の中でも、特に神戸型の墓石はシンプルなので、
才単価の加工範囲ならば、国内加工であってもそう高くなりません。
仮に、才単価:10万円(1才あたり10万円)の石を使って、
総量10才の墓石をつくった場合、10万円×10=100万円となります。
才単価の範囲で出来る神戸型墓石
では、実際にどこまでの加工の神戸型墓石ならば、
才単価の範囲で加工できるのかをご説明いたしましょう。
これが、いわゆる神戸型墓石の基本形です。
この形なら才単価の範囲内での加工となります。
雨水が溜まらないよう、上台と下台(中台)への水垂れ加工。
関西では、通常これも才単価の範囲内の加工賃で出来るのです。
これが亀腹加工となると別途加工賃が必要となります。
墓石のサイズによっても異なりますが、5万円~10万円位掛かります。
亀腹加工を施しても、水切り効果は「水垂れ」同じですので、
才単価の範囲で出来る、水垂れ加工で十分かと思います。
花立もまっすぐなストレートタイプなら才単価で加工出来ますが、
写真のような「角花瓶型」となると、別途10万円程度は必要でしょう。
中国の石材加工工場では蓮華加工のような極めて複雑な加工を除くと、
亀腹や角花瓶花立などの加工は大半の工場が才単価内でしてくれます。
それゆえに、中国加工の国産墓石の方が圧倒的に多いのです。
和型神戸型墓石!国内加工と中国加工の値段の差
では、和型の神戸型墓石を国内加工でつくった場合と、
中国加工の場合とでは、どの位の値段の差があるのでしょうか?
ここでは、分かりやすくするために、関西地方で人気の高い、
国産高級石の代表格でもある「大島石」を例に挙げましょう。
大島石も「特級」「1級」「二割」「カレイ」「二等」と、
いくつかの等級(ランク)に分かれるのですが、
とびきり品質の良い極上クラスが中国に送られることは少ないでしょう。
おおむね、「1級」から下のクラスの石が多く送られています。
これらの才単価自体は、国内の産地加工工場で墓石に加工するのも、
中国の石材加工工場で加工するのもそう大きくは変わりません。
変わってもごく僅か高い程度か、同じ値段の場合もあるほどです。
なぜならば、中国に大島石を送るには運賃も掛かりますし、
原石に関税も掛かり、墓石に加工された製品を輸入する際にも、
再び関税と運賃が掛かるので、いくら人件費の安い中国で加工しても、
石材商社の利益等が加算され、最終的には同等の値段になるのです。
…ということは、亀腹加工や角花瓶型花立などの、
別途加工賃が掛かる加工をせず、水垂れ加工だけを施した、
神戸型墓石なら中国加工の大島石墓石とほぼ同じということです。
ただ、これはごくシンプルな神戸型墓石の場合に限られます。
日本一大きなお墓を建てる地域として有名な富山県で、
最高級の大島石を使って国内加工の墓石を建てるとしたら、
数千万円の費用が掛かるかも分からないのでは?…と、
富山県でお墓の無料相談サイトを主催しておられる、
宮崎さんのブログに詳しく書かれています。
また、当社の特許出願墓石である、納骨室に水が入らない新構造墓石、
「信頼棺™」も、各部に複雑な特殊加工を要するため、
国内加工の場合には、当然、別途加工賃が必要となります。
この「信頼棺™」の様に特殊加工を要する構造の墓石や、
随所に複雑な加工を要する地域の墓石はともかくとして、
シンプルな構造の墓石に限っては、才単価の範囲で加工が可能です。
ただし、これは関西近郊の産地加工工場の場合であって、
全ての国内産地加工工場には当てはまらないかも知れません。
シンプルな形であっても国内産地加工の国産墓石を選ぶか、
見栄えを優先して中国加工の国産墓石を選ぶかは消費者次第です。
神戸型墓石ならば、国内加工で亀腹加工と角花瓶型花立にしても、
才単価と別に15万円程度の別途加工賃プラスで済みますが、
地域によって、墓石の形や構造などが大きく異なるため、
とんでもない別途加工賃が掛かってくる地域もありますので、
何が何でも国内加工の国産墓石と言い難い部分もあります。
値段と見栄え、そして最も重要な「構造」を総合的に考えれば、
国産の石でなくとも、インド産の石など良い石はたくさんあります。
その場合は、中国の良い工場でつくることが条件ですが…
国産だけが全てではありません。
ただ、同じくらいの値段で出来るのなら国内加工でしょう。
~つづく~
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