地震で隣のお墓が倒れ、自分のお墓が傷ついた①誰が責任をとってくれるの?
~前のコラムからの続きです~
これは難しい問題ですが、建物や宅地造成についての被災の責任が問題とされた判例
(お墓の倒壊について争われた判例は調査した範囲では見当たりません)は、
建物や宅地造成では、通常発生することが予想される
震度5程度の地震に対する耐震性があることが、安全性の基準であり、
それを欠いた場合に欠陥があるとして、
占有者・所有者に責任を認めています。(参考判例①②③)
【参考判例】
①仙台地判平成4年4月8日(判例時報1446号98頁)
≪事案≫宮崎県沖地震が昭和53年に発生したが、
その際に造成された宅地が陥没して建物が倒壊したため、
宅地の所有者が造成した業者等に宅地造成に欠陥があったとして
瑕疵担保責任に基づく損害賠償を求めたケース。
≪判旨≫瑕疵の存否は、一般常識的見地から、
少なくとも震度5程度の地震に耐えうるかを基準として判断するのが相当としたうえ、
当該宅地が震度5に耐えられる強度を有していたと認定して、業者の損害賠償責任を否定した。
②仙台地判平成8年6月11日(判例時報1625号85頁)
≪事案≫宮崎沖地震で倒壊した宅地を造成した仙台市に対し
宅地を購入した住居者が造成に欠陥があるとして損害賠償請求をしたケース。
≪判旨≫造成された宅地が予測される規模の地震に対する
耐震性を欠いていた場合には瑕疵があるとし、
当該住宅は震度5程度の地震に耐え得る程度の強度を有していたと認定して、責任を否定した。
③神戸地判平成11年9月20日(判例時報1716号105頁)
≪事案≫平成7年に発生した阪神淡路大震災により、
1階部分が押しつぶされた賃貸マンションの住民が死傷等したことに伴い、
そのマンションが地震等の水平力に対する抵抗力が
皆無の危険な建物であり設置に瑕疵があるとして、
建物所有者に対する土地工作物責任に基づく損害賠償請求を求めたケース。
≪判旨≫当該マンションが昭和39年に建築され、
補強コンクリートブロック造の構造をしていたところ、
設計上も壁厚や壁量が不十分であり、
実際上の施工にも鉄筋の量が不足している等の不備があり、
建設当時を基準として考えても安全性に欠け、設置に瑕疵があったとした。
その上で、阪神淡路大震災が、現行の設計震度を
上回る揺れの地震であっても(震度7であった)、
通常の安全性を備えていれば1階部分が押しつぶされて倒壊することはなかったとして、
所有者の責任を認めた。但し、自然力と競合して倒壊したことから、賠償金額の減額を認めた。
~つづく~
※参考文献:日本石材工業新聞 第1910号(日本石材工業新聞社発行)
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